2019年01月24日

スラブ語版エノク書

スラブ語版エノク書
スラブ語エノク書の概要
(注) この抜粋は、
森安達也訳『聖書外典偽典第三巻 旧約偽典I』教文館
によって、作成をしました。
 しかし、森安氏の訳文を私なりにわかりやすく変更をさせていただきました。
また、ひらがなを漢字にしたり、言葉を変えて読みやすくしたりした箇所があることをお断りしておきましょう。
 また、私なりに不明な箇所が訳文に残っている場合は、そのままの表記にしておき「?」を附しておきました。
残念ですがスラブ語について、私はまったくわからないのです。
したがって、森安氏には大いに感謝をいたします。
(注おわり)
いっぽう、エチオピア語エノク書に対してスラヴ語エノク書はまったく内容が異なっています。
最初の原典は同じであったかもしれませんが、書き方などは違っているからです。
例えば、章の中には節番号がまったくありません。
各章ごとに内容をまとめてみますと、次のようになるでしょう。
まえがき
「義人エノクの挙げられたことについての秘密の書より」というタイトルが付いています。
そして、本文には
「義人エノク、賢者にして偉大な書記、主は彼を挙げさせられたが、それは、
天上での生活と、
全能の神のいと賢く偉大な揺るぎなき王国と、
いと偉大にして数多くの目を持ち不動なる主の玉座と、
主の僕(しもべ)たちのいと輝ける座と、
天の軍勢の火から生じた強力な位階と、
多数の元素の言うに言われぬ組み合わせと、
さまざまな光景と、
ケルビムの軍勢の筆舌につくしがたい歌声と
の証人となるためであり、また無限の光の目撃者となるためである。」
とあります。
第一章
エノクが三六五歳のときに、非常に大きな(巨人であろうか)二人の天使が現れる。
エノクは、息子のメトセラとリギムを呼んで、天使の行ったことを語った。
第二章
エノクは自分がこれからどうなるかを知らないものの、息子たちに後のことを託す。
また、自分を探したりしないようにと言った。
第三章
エノクは第一天にあげられる。
(雪と氷の貯蔵庫・雲の貯蔵庫・露の貯蔵庫)
第四章
第二天(主に背いて囚人となった天使たち)
第五章
第三天(天国と地獄の見学)
第六章
第四天(太陽と月)
第七章
第五天(エグリゴリという人間の形をしている巨人よりも大きな男たち)
第八章
第六天(他の天使たちを支配する最高級の天使たち)
第九章
第七天(エノクが主の眼前に置かれ、言葉を賜る)
第一〇章
エノクは、三六〇冊の本を書き写した。
第一一章
主は、エノクに天地創造の経過をあたかも人が隣人にするようにして語った。
第一二章はない(後代になってから挿入されたもの)
第一三章
エノクは地上に戻り、天上で見聞したことを長々と息子たちに語る。
第一四章
エノクは、長老たちを呼んで祝福した。
第一五章
エノクは、長老たちに語る。
第一六章
民が集まって、エノクにあいさつをする。
第一七章
エノクは、主の前に歩むことを民に語る。
第一八章 エノクは天使たちに連れ去られ、ふたたび天にあげられる。主はエノクを迎え、永遠にご自身の眼前に置かれた。
第一九章はない(後代になってから挿入されたもの)
第二〇章
 エノクの息子たちが祭壇を築く。
第二一章
 エノクの息子メトセラが祭司に選ばれる。
第二二章
 メトセラが死に、レメクの息子ニルが祭司に選ばれる。ニルの時代二〇二年の間は、地上すべてに平和と秩序があった。その後、民は神から遠ざかって互いにうらやみはじめ、反乱や騒乱が起こった。
第二三章
 ニルの妻ソフォニムは、死の直前に懐妊。メルキセデクを誕生。メルキセデクも天にあげられた。
私的な考察
「エノクは実は生きたまま天に挙げられて、神の書記官としての役割を与えられていた」
のではないだろうか。
エノクは天で、堕落をした天使たちと接触している。
考えてみれば、それは時期的に、天使たちが人間の女と交わってネフィリムを生んだころである。

青空のホームページ
http://www.geocities.jp/rikwhi/riko/enoch_syo.htm
http://www1.ttv.ne.jp/~riko/





(注) なお、この文書はWordで作成をしました。
原文は今後の加筆や修正のために「.doc」ファイルで残っています。
したがって、ホームページにアップしたファイルは、それを「Webページとして保存(フィルター)」したものです。
つまり、ファイル形式は「.htm」です。また、フィルタ後としたのはファイルの大きさを少しでも小さくするためです。
(注おわり)

青空のホームページ
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エチオピア語版エノク書


エチオピア語エノク書の概要
(注) この抜粋は、
村岡崇光訳『聖書外典偽典第四巻 旧約偽典II』教文館
によって、作成をしました。
 しかし、村岡氏の訳文を私なりにわかりやすく変更をさせていただきました。また、ひらがなを漢字にしたり、言葉を変えて読みやすくしたりした箇所があることをお断りしておきましょう。
 また、節番号などで不明なものが訳文に残っている箇所は、そのままの表記にしておき「?」を附しておきました。
残念ですがエチオピア語について、私はまったくわからないのです。
したがって、村岡氏には大いに感謝をいたします。
(注おわり)
 この『エチオピア語エノク書』のあらましは、
第一章
 エノクが、幻の中で神を見ます。天使たちは「悪人のための審判の日と、義人のための至福」について語ります。
第六章〜第六章
 「天使の堕落と巨人の誕生」「ノアが天使に懲罰を宣告」「エノクが宣言を反復」「天上・地上・地下を見学」など。
第三七章〜第七一章
 メシアについての記述とエノクの昇天。
第七二章〜第八二章
 天使ウリエルによる天文学や暦法。
第八三章〜第九〇章
 歴史的考察。
第九一章〜第一〇五章
 子孫への訓戒。
第一〇六章〜第一〇八章
 しめくくり。
となっています。
 次に、各章から注意をすべき箇所を抜き書きしてみましょう。
第一章
01 すべての悪人、不敬虔の者が追放される艱難の日に居合わせるべく定められている選ばれた者たちと、義(ただ)しい者たちとを祝福したエノクの祝福のことば。
02 神から[遣わされた]義人エノクは、目をかっと見開いていると、天にいます聖なるおかたの幻が見えたので答えて言った。これはみ使いたちがわたしに見せてくれたものであり、またわたしは彼らから何もかもいっさい聞かされた。わたしは、自分が見たものを理解することができた。それはこの(今の)時代にかかわるものではなく、来たるべき遠い先の時代にかかわるものである。
第五章
07 ……選ばれたものたちには光と喜びと平安がおとずれ、彼らが地を嗣ぐ者となる。だがきみたち不敬虔な者たちには呪いがあるのみ。……
第六章
01 そのころ人の子らが数を増していくと、彼らに見目(みめ)麗(うるわ)しい美人の娘たちが生まれた。
02 これを見たみ使いたち、(すなわち)天の子たちは彼女らに魅せられ、「さて、さて、あの人の子らの中からおのおの嫁を選び、子をもうけようではないか」と、言いかわした。
……
05 ……そこに居合わせたのは合計二〇〇人であった。
第七章
02 彼女らははらんで、背たけがいずれも三〇〇〇キュピトというとてつもない巨人を生んだ。
03 彼らは人間の労苦の実を食いつくしてしまい、人間はもはや彼らを養うことができなくなってしまった。
04 そこで巨人たちは人間を食わんものと彼ら(人間)に目をむけた。
第九章
08 彼らは連れだって人の娘らのところに通い、これと、すなわちこの女たちと寝て身をけがし、彼女らにこれらの罪の数々を明かした。
09 女たちは巨人を産み、こうして全地は血と暴虐に満ちあふれた。
第一〇章
10 「……彼らは永生を望み、各人五〇〇年の寿命を希望しているのだが」
第一二章
01 以上のことがおこるまえに、エノクは隠され、人の子らのうち、彼がどこに隠されたのか、どこにいるのか、またどうなったのか知っているものはなかった。
第一四章
05 きみたちは今後、絶対に天にのぼることはない。きみたちを永遠に地上にしばりつけておくようにとの命令が出ている。
第一五章
03 どうしてまた、はるかに高く、聖なる永遠の天を見捨てて、女どもと褥(しとね)をともにし、人間の娘らを相手に身をけがし、妻をめとって、地の子らと同様にふるまい、巨人の子(ばかでかい子供)をもうけなどしたのだ。
08 ところで、霊と肉から生まれた巨人たちは、地上では悪霊と呼ばれ、彼らの住居(すみか)は地上にある。
11 巨人たちの霊は苦しめ、暴力をふるい、腐敗堕落し、争い、地上で破壊し、問題をひきおこし、なんにも食せず[それでいて飢え]渇きをおぼえ、足もとがあぶなくなる。
第三九章
01 ……、選ばれた聖なる子らが上なる天から降りてきて、彼らの種(たね)は人の子らと一つになるであろう。
第四一章
01 その後、私は天のすべての秘密を見た。王国が分割され、人間の行いが秤にかけられるさまを。
08 ……、義人にとっては光であるのに、罪人にとっては闇である。
第四二章
01 知恵はその住むべき場所を見いだせなかったが、後に天にその住居(すまい)ができた。
02 知恵は、人の子らの間に住もうとやって来たが、住居が見いだせず、自分の場所へ戻って、み使いたちの間に居を定めた。
第四八章
06 これがために、世界が創造される前から、彼は選ばれ、彼(霊魂の主)の前に隠され、永遠に彼の前にあるであろう。
第四九章
02 ……。選ばれた者が霊魂の主の前に立ち現れたことゆえ。彼の栄光は永遠(とわ)に、その力は代々に(及ぶ)。
第六〇章
01 エノクの生涯の第五〇〇年七月、その月の一四日。あのたとえの中で私は天の天がどんなに激しく震え、至高者の軍勢、幾千、幾万の天使たちがどんなに激しく動揺したかを見た。
08 「……デダインと称し、霊魂の主が造られた人間の最初アダムから七代目にある私の(曾)祖父(エノク)がさらわれていった選民と義人たちとが住む園の東にある。」
10 彼(聖ミカエル)は私(エノク)に言った。「君は人の子でありながら、隠されたことをここで知りたがる。」
第六五章
01 そのころ、ノアは地がへこんで、その滅亡が近くなったのを見た。
02 彼は足をあげて、そこから大地の果てまで行き、祖父エノクに三度、「聞いてください、聞いてください、聞いてください」と苦しそうな声で呼びかけた。
03 彼(エノク)は言った。「これ、私に言うがよい、地の上で何事が起こっているのだ。大地はこんなにあえぎ、揺れ動いているではないか。まさか、わしまでまきぞえくっておさらばじゃあるまいな」。
第六八章
01 そののち、私の祖父エノクは、本の形で、すべての奥義の解釈と彼が授かったところのたとえを私に伝授してくれ、私のためにそれをたとえの書の言葉の中に挿入してくれた。
第七〇章
04 そこに私は、太古よりその所に住まう原初(はじめ)の先祖たちと義人たちとを見た。
第七一章
01 こののち、私の霊は隠されて天に昇った。(そこに)私はみ使いたちの子らが火の炎の上を歩いているのを見た。彼らの着物と衣装は白く、顔の光は水晶に似ていた。
第七二章
01 天の発光体の運行の書。それらが、種類・主従の関係・季節・名称・起源・月に関して、互いにどう関係するか(を記した書)。……
第七六章
01 地の果てに私はすべての方向に向けて開いた一二の門を見た。そこから風が出て来て地上に吹き付けるのである。
第七七章
08 私は七つの大きな島を海と陸に見た。二つは陸に、五つは大海に。
第八〇章
01 そのころウリエルは私に答えて言った。「見よ、私は君にすべてのことを見せた、エノクよ、私は君にすべてを掲示した。……
第八二章
01 さて、わが子メトセラよ、これらすべてのことを私はお前に語り、お前のために書き記し、お前にいっさいを啓示し、これらすべてに関する書物をここに授ける。わが子メトセラよ、お前の父の手ずから書かれた書き物をしかと保存し、代々引き継いでゆくのだぞ。
第八九章
01 その四人の中の一人が例の白牛のところへ行って、こっそりと何か教えを授けたが、彼はがたがた震えていた。彼は牛に生まれたのだが、(後に)人間になり、大きな箱船を造り、それに住んだが、ほかに三匹の牛がいっしょに住み、彼らの上には蓋(ふた)がかぶさった。
第九三章
13 およそ人間の中に、大地の縦横の大きさを知ることのできる者があるか。これらすべてのものの大きさが誰に明かされたというのか。
14 あるいはまた天の長さを知ることのできる人間があるか。その高さはいくらか。何の上に固定されているのか。星の数はいくつで、すべての光はどこに憩うのか。
第一〇〇章
01 そのとき、あるところで、父が子とともに刺し殺され、兄弟が隣人とともに斃(たお)れ、その血が川のように流れるであろう。
02 人はわが子、わが孫をすら平気で殺(あや)め、罪人は敬愛する自分の兄弟をすら平気で殺め、明け方から日暮れ時まで殺し合いが続くであろう。
第一〇六章
01 しばらくして私の子メトセラは、その子ラメクに嫁をとってやったが、彼女は彼によって孕(はら)み、男子を出産した。
02 彼の身体は雪のように白く、またバラの花のように赤く、頭髪、(ことに)頭のてっぺんの髪は羊毛のように白く、眼美しく、彼が眼をあけると、それは太陽のように家中をくまなく照らし、家全体がいよいよ明るくなった。
03 彼は、産婆の手を離れて立ち上がると、口を開いて義の主を賛美した。
04 父のラメクは、これに恐怖をおぼえて逃げ出し、父メトセラのところを訪ねた。
05 彼は言った。「風変わりな子が生まれました。人間には似ても似つかず、天使たちの子に似ていて、とにかくつくりが尋常でなく、私たちとは違って眼はお天道さまの傘みたいで、顔はキラキラと光っております。
06 あれは私の子ではなく、み使いが父親ではないかという気がします。あれが生きている間に、地上に何か異変があるのではないかと思うと恐(こわ)ません。
07 ところで、お父さん、私のたっての願いですから、私どものご先祖エノクを訪ねて本当のところを聞き出してきていただきたいのです。あのお方は、み使いたちとお住まいだというではありませんか」。
08 メトセラは彼の子の言葉を聞いて、地の果てにいる私のところに来た。私がそこにいるということを聞き込んだのであろう。彼が大声を出したので、わたしはその声を聞き、彼のところへ行って言った。「さあ、お前が訪ねて来たというから、こうして会ってやるのだ」。
13 私(エノク)は答えて彼(メトセラ)に言った。「主は地上に新しいことをなさろうとしておられる。それは私にははっきりわかっているし、幻でも見た。お前にも話したとおり、私の父(とお)さんのヤレデの時代に、天使の中のある者たちが主の言葉に背(そむ)いた。
14 見ろ、彼らは罪を犯し、掟に背(そむ)き、女たちと交(まじ)わり、これと一緒になって罪を犯し、その中から妻を娶(めと)って、子をもうけた。
17? 彼らは地上に、霊のものならず、肉のものである巨人を産むであろう。地上には大きな刑罰が望み、地はすべての汚れから清められるであろう。
15 大いなる滅亡が全地に臨み、大洪水が襲い、その大いなる滅亡は一年間臨むであろう。
16 お前たちのところに生まれたその子は地上に生き残り、彼の三人の子もいっしょに助かるであろう。地上の全人類が死ぬとき、彼とその子らは助かるであろう。
18 ところで、お前の息子(ラメク)には、「生まれた子は、まさしく彼の子だ」と知らせてやれ。そして、その子の名はノアとせよ。というのは、お前たちにとっては彼が生き残りとなり、彼とその子らが、彼の時代に地上にあってその絶頂に達するありとあらゆる罪と暴虐のゆえに地上に臨むであろう滅亡から救われるのだ。
第一〇八章
15 罪人たちはわめきたて、彼らが輝く様を見るであろう。
そして、彼らの(処罰の)日と時とが書き記されている場所へ立ち去るのである。
(エチオピア語エノク書おわり)

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rikwhi:『エノク書』についての私的考察


『エノク書』についての私的考察
はじめに
エチオピア語エノク書
スラブ語エノク書

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はじめに
旧約聖書の外典『エノク書』は、エノク(Enoch)によって書かれたと言われる。
エノクは、ヘノクとも読まれるようであるが、彼について何人かが聖書に書かれているようだ。
(注) 戸塚のカソリック教会の神父にいただいた資料66ページによると、
<(1) カインの子。(創世記 第四章17節 後記)
(2) ……、エノクはメトセラの父である。(創世記 第五章18〜21節)>
とあるが、どうも何のことかわからない。
(注おわり)
 そこで、以下に私(黒田康太)なりに原典の文章を当たって、自分の考えでまとめてみよう。
(1) カインの子
旧約聖書『創世記』の第四章(後半)に次のような記述がある。
<【カインの子孫】
17 カインは、妻を知った。彼女は身ごもって、エノクを産んだ。カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんで、エノクと名付けた。
18 エノクには、イラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。>
とある。
 続いて、その系列が
<19 レメクは、二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラ。
20 アダは、ヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。
21 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者の先祖となった。
22 ツィラもまた、トバル=カインを産んだ。彼は青銅や鉄で、種々の道具を作る者となった。トバル=カインの妹は、ナアマといった。
23 さて、レメクは妻二人に言った。「アダとツィラよ、私の声を聞け。レメクの妻たちよ、私の言葉に耳を傾けよ。私は傷の報いに男を殺し、打ち傷の報いに若者を殺す。
24 カインのための復讐が七倍なら、レメクのためには七十七倍」>
と述べられている。
(2) セトの子 
 同じく『創世記』のその後と、第五章には次のような記述がある。
<【セトの子孫】
25 再び、アダムは妻を知った。妻は男の子を産み、セトと名付けた。「カインがアベルを殺したので、神がアベルに代わる子を授けてくれた」
26 セトにも男の子が生まれた。彼は、その子をエノクと名付けた。人々が神の名を呼び始めたのは、この時代からである。
第五章
【大洪水以前】
01 アダムの系図は次のとおり。神は人を創造したときに、神に似せて人を造った。
02 男と女を創造した。創造の日に、彼らを祝福して、人と名付けた。
03 アダムは百三十歳になったとき、自分に似た男の子をもうけた。アダムは、その子をセトと名付けた。
04 アダムは、セトが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。
:05 アダムは九百三十年生き、そして死んだ。
06 セトは百五歳になったとき、エノクをもうけた。
07 セトは、エノクが生まれた後八百七年生きて、息子や娘をもうけた。
08 セトは九百十二年生き、そして死んだ。
09 エノクは九十歳になったとき、ケナンをもうけた。
10 エノクは、ケナンが生まれた後八百十五年生きて、息子や娘をもうけた。
11 エノクは九百五年生き、そして死んだ。
12 ケナンは七十歳になったとき、マハラルエルをもうけた。
13 ケナンは、マハラルエルが生まれた後八百四十年生きて、息子や娘をもうけた。
14 ケナンは九百十年生き、そして死んだ。
15 マハラルエルは六十五歳になったとき、エレドをもうけた。
16 マハラルエルは、エレドが生まれた後八百三十年生きて、息子や娘をもうけた。
17 マハラルエルは八百九十五年生き、そして死んだ。
18 エレドは百六十二歳になったとき、エノクをもうけた。
19 エレドは、エノクが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。
20 エレドは九百六十二年生き、そして死んだ。
21 エノクは六十五歳になったとき、メトセラをもうけた。
22 エノクは、メトセラが生まれた後、三百年神と共に歩み、息子や娘をもうけた。
23 エノクは三百六十五年生きた。
24 エノクは神と共に歩み、神が取られたのでいなくなった。
25 メトセラは百八十七歳になったとき、レメクをもうけた。
:26 メトセラは、レメクが生まれた後七百八十二年生きて、息子や娘をもうけた。
27 メトセラは九百六十九年生き、そして死んだ。
28 レメクは百八十二歳になったとき、男の子をもうけた。
29 彼は「神の呪いを受けた大地で働く私たちの手の苦労を、この子は慰めてくれるであろう」と言って、その子をノア(=慰め)と名付けた。
30 レメクは、ノアが生まれた後五百九十五年生きて、息子や娘をもうけた。
31 レメクは七百七十七年生き、そして死んだ。
:32 ノアは五百歳になったとき、セム・ハム・ヤヘトをもうけた。>
とある。
つまり、どうやら(1)と(2)のエノクは違う人物ではないだろうか。
エノクという言葉自体は「従う者」という意味である。
なお、コーランの記述ではエノクが預言者イドリスとなっている。
新約聖書にもエノクの記述はある。
例えば、『ルカによる福音書』の第三章37節に
<【イエスの系図】
23 イエス自身は、教え始めたときおよそ三十歳。人々は、イエスをヨセフの子と思った。そして、ヨセフはヘリの子。
24 さかのぼって、マタトの子、レビの子、メルキの子、ヤナイの子、ヨセフの子。
25 マタティアの子、アモスの子、ナウムの子、エスリの子、ナガイの子。
26 マアトの子、マタティアの子、セメインの子、ヨセフの子、ユダの子。
27 ヨハナンの子、レサの子、ゼルバベルの子、シャルティエルの子、ネリの子。
28 メルキの子、アディの子、コサムの子、エルモダムの子、エルの子。
29 ヨサの子、エリエゼルの子、ヨリムの子、マタトの子、レビの子。
30 シメオンの子、ユダの子、ヨセフの子、ヨナンの子、エリアキムの子。
31 メレアの子、メナンの子、マタタの子、ナタンの子、ダビデの子。
32 エッサイの子、オベドの子、ボアズの子、サルモンの子、ナフションの子。
33 アミナダブの子、アラムの子、ヨラムの子、ヘツロンの子、ペレツの子、ユダの子。
34 ヤコブの子、イサクの子、アブラハムの子、テラの子、ナホルの子。
35 セルグの子、レウの子、ペレグの子、エベルの子、シェラの子。
36 カイナンの子、アルパクシャドの子、セムの子、ノアの子、レメクの子。
37 メトセラの子、エノクの子、ヤレドの子、マハラルエルの子、カイナンの子。
38 エノスの子、セツの子、アダムの子、そして神の子であった。>
とある。
このエノクに関する文章を読むと、私は不思議な気持ちになる。
まず、彼以外にも書かれた人物が長生きであったということ。
<11 エノクは950年生き、そして死んだ。>
という記述もあるが、別な箇所ではエノクが「死んだ」のではなく、
<24 エノクは神と共に歩み、神が取られたのでいなくなった。>
と書かれていることだ。
つまり、エノクは生きたまま天に昇ったであろうような書き方をしていることである。
一説には、大天使メタトロンとなったとも言う。
素っ気なく単に「死んだ」となっていない箇所は、それなりに意味があるのであろう。
例えば、イエスについて下記の場合もそういう箇所がある。
「ルカによる文書(二)」(Actus Apostolorum・使徒行伝・聖霊の福音書)の第一章の最初、
<【冒頭の言葉】
01 尊敬するテオフィロ閣下、私は最初の『文書(一)』で、イエスが行ない、教え始めたすべての事柄について、
02 ご自分が選んだ使徒たちに聖霊によって命令を与えたのち、迎え上げられた日までのことを書き記しました。>
という箇所である。
ここでも、「死んだ」ではなく「迎え上げられた」とある記述です。
その表現は、受け身のようにも取れるし、尊敬語のようでもあります。
受け身の場合は、「神によって」迎え上げられたことになるでしょう。
また、イエスご自身のことであれば「迎え上げられなさった」という尊敬の記述かもしれません。
私は、ギリシャ語もわかりませんし、ましてヘブライ語などはまったく知りません。
したがって、和訳された資料から推測をするので、間違っているかもしれません。
この『エノク書』は、初期キリスト教で聖書の一部と信じられていたようです。
エチオピア正教では、現在もエチオピア語エノク書を教典としています。

青空のホームページ
http://www.geocities.jp/rikwhi/riko/enoch_syo.htm
http://www1.ttv.ne.jp/~riko/




『エノク書』について
2013.12.27
『エノク書』は2000年以上も前に、書かれた文書。
もしかしたら、無名の著者が箔をつけるために、エノクの名前を用いたのかもしれない。
私は、『エノク書』について研究をしているが、ここにも概略をメモしておこう。
(1) エノクが天国に案内され、ウリエル、ラファエル、ミカエル、ガブリエルを紹介される。
そして、天国のあちこちを巡って、宇宙の秘密を知る。
(2) エノクが天国に召されるまでが具体的に描写されている。
エノクが恐怖に襲われると、
「神からの使いであるから安心しなさい。」
と告げられる。七つの天国を案内され、その七番目を超えるとさらに神聖な三つの天国があった。
(3) エノクは神の前で、
「宇宙の原理」
「天地の創造」
「人類の堕落」
などを学んだ。
それらを息子たちや人々に伝えるために、三十日間地上に戻った。
そして、それが終わると神はエノクを連れ戻し、メタトロンに変えたという。

青空のホームページ
http://www.geocities.jp/rikwhi/riko/bun_anritu/kami_gainen.html
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