Hannah Frankman Hood: 子どもたちの遊びの崩壊
外で遊ぶ子どもたちがほぼ完全に消えたこの世界。それはつまり「子どもだけの領域」が失われた世界
2026/02/26 20:11
■ 誰も外で遊ばなくなった主要国そして日本の社会
アメリカで約10年間、オルタナティブ教育に携わっているハンナ・フランクマン・フッドさんという女性の方が、
「子どもたちの遊びの崩壊」
というタイトルの記事を書いていました。
それによると、今のアメリカでは、
> 現在の子どもたちが自由に屋外で遊べる時間は、1日わずか 4〜 7分
なのだそう。
あとは、さまざまな…日本でいえば塾や習い事的なことや、そして残りの時間はスクリーンタイム(スマートフォン、タブレット、パソコンなどを見て過ごすこと)です。今回はそのハンナ・フランクマン・フッドさん寄稿文をご紹介したいと思いますけれど、これはアメリカの話ですが、日本も調査をすれば同程度なのではないでしょうか。私の家の近所には比較的大きくてきれいな公園がいくつかありますが、小学生や中学生などがそこで遊んでいる姿を見ることは、ほとんどないです。というより、登下校以外には、「子どもが町をうろうろと歩いているというシーン自体がほとんどない」という感じで、どこかにはいるのでしょうけれど、それは「大人の介入なしに」自由に遊べる場ではなく、塾だったり何やらだったり、あるいは家でスマホやタブレットなどに没頭しているという状態の人たちが多いのだとは想像できます。最近、「小学生の外遊びが「45%減少」という現実」という日本語の記事を読みましたが、以下のように書かれていました。
2016年に実施された小学校高学年向けの調査によると、子どもの外遊び時間は1981年の2時間11分から、2016年には1時間12分まで減少している。35年間で外遊びの時間は「45%減少」した。 Merkmal
ということで、数字上でも、日本の子どもたちの外遊びの時間は大幅に減っているようです。ただ、この記事で取りあげた調査の場合、「 2016年まで」のものとなっているのがちょっとアレで、小学生や中学生のスマートフォン所持率が飛躍的に上昇したのは、この 2016年のあとからなんです。2016年には、10歳以上の小学生でスマホを所持していた率は 約 22%でしたが、2024年には、66%を超えています。
中学生も 2016年には、47%程度だったのが、2024年には、ほぼ 90%に達しています。つまり、この 2016年頃から現在までというのは、「常にスマホと共にいる」という子どもたちが増え、子どもたちの生活環境が著しく変化した時でもあったのだと思います。さらに、2020年からは「事実上のロックダウンによる家庭内への閉じ込め」がありました。これが子どもたちの生活パターンに影響していないわけがありません。何ヶ月も家の中だけで過ごしている間に生活スタイルが完全に変化して、それがそのまま定着した可能性があります。ともかく、まずは、教育者のハンナ・フランクマン・フッドさんの記事をご紹介します。
■ 子どもたちの遊びの崩壊
外遊びは7分間だけ:子どもたちの遊びの崩壊
7 Minutes Outside: The Collapse of Childhood Play
Hannah Frankman Hood 2025/10/28
現在の子どもたちが自由に屋外で遊べる時間は、1日わずか 4〜 7分であることがわかった。過密スケジュールと不安が、アメリカの若い世代に大きな打撃を与えている。研究によると、現代の子どもたちは 1日平均 4〜 7分しか外で自由に過ごせず、一方で、別の研究では、子どもたちは 7〜 8時間はスクリーンの前で過ごしている。若者のメンタルヘルス危機も全国に広がり、不安、うつ病、自殺念慮、注意欠陥・多動性障害などの精神疾患の診断率が記録的な高さに達していることから、子どもたちの屋内閉じ込めとメンタルヘルスの問題との相関関係が単なる偶然ではないことは想像に難くない。過度に長いスクリーンタイムが精神衛生に及ぼす影響は追跡が容易で、綿密に研究されている。しかし、屋外で過ごす時間が不足することによる二次的な影響も同様に驚くべきものだ。自由な遊びと自由な時間は、子どもたちの幸福の基盤となるものだが、アメリカの子どもたちはそれを十分に享受できてはいない。1日 7分 (の外遊び)では、ゲームや空想の冒険の構想や空想を思い描くのにも、やっとの思いだろう。1日 7分では、バス停から往復する時間にも満たず、ブロックを一周歩く時間より短いのだ。
・子どもたちはなぜ外にいないのか?
21世紀は、子どもたちを屋外から遠ざける悪条件がいくつも重なってきた。スクリーンは魅力的で、外は「危険」だと。そして親たちは、子どもたちに「自分のため」とばかりに座りっぱなしの活動を勧める。数学オリンピックだったり、フランス語の個別指導だったり、放課後のクラブだったり。親たちは屋外の危険を恐れている。現代社会では、犯罪統計から都市設計そのものに至るまで、あらゆる要因が親を子どもに厳しく躾けさせている。そして、都市部には自由に遊べる場所がほとんどない。
公園、遊び場、その他の子ども向けの屋外スペースは奇妙なほどまばらで、まるで都市設計者が子どものいない世界を望んでいるかのようにさえ見える。アパートの団地には、遊び場よりも犬の洗い場が設置されていることが多い。現代社会は、子ども時代とは何かを忘れた人々によって築かれたように思われ、犯罪への恐怖から、親たちは、子どもたちが自由に使える空間を使わせることに不安を感じている。
子ども中心の空間の有無とは別に、子どもたちは忙しい。増え続ける学校の課題、組織化された課外活動、そしてもちろん、常につきまとうスクリーンタイムの誘惑に日々追われている。郊外の広い裏庭のある地域でさえ、子どもたちはほとんど外に出ないほどだ。
その結果として、子どもたちは 1日あたり 7〜 8時間スクリーンを見ることになるが、それと共に、今では、子どもたちが外で自由に過ごせる時間はわずか 4〜 7分しかなくなった。この外遊びの時間は、私たちの祖父母の世代の人々にはまったく想像もできなかったことだ。
これを考えるには「構造化されていない」という部分(※ 同じ屋外でも「管理下でやらなければならないこと」と「自由な外遊び」では後者が重要だという意味だと思います)が重要で、「屋外で過ごす時間」という漠然とした意味では不十分だ。サッカーの練習で 1時間フィールドで過ごすことは、子どもたちに新鮮な空気、太陽の光、そして体を動かすことの恩恵を与えるが、自由な遊びがもたらす心理的な恩恵は得られない。
非構造化とは、大人のルールや指示から離れた時間と空間を意味する。それは、子どもの奔放で気まぐれな世界に完全に存在する。
自由で、何の妨げもなく、子ども主導で、しばしば豊かな想像力に満ちている。体育の授業やスポーツクラブにあるような、定められた目標はそこにはない。それは純粋で束縛のないものであり、子どもの発達にとって生物学的に備わっている欲求なのだ。
・小児期のメンタルヘルス危機
親たちは外の世界の危険を心配いるが、スクリーンの世界の危険についてはどうだろうか。スクリーンの世界では、グルーミング (※ 子どもを手なずけること)や搾取が日常茶飯事で、画面の向こうの大人たちが他の子どもたちのふりをして、何に注意すべきか分からないほど世間知らずの若者たちに話しかけるのだ。では、座りっぱなしの生活がもたらす身体的な危険についてはどうだろうか?17歳から 24歳までのアメリカの若者の 77%は兵役に就くことができない。17歳から 24歳のうち 33%は肥満のために兵役に就くことができない。体重要件を満たしている若者のうち、さらに 25%は体力基準を満たしていない。その他の身体的疾患や精神疾患も、兵役に就けない主な原因となっている。アメリカの若者の健康状態の悪化には、多くの要因が絡んでいる。食生活の乱れ、環境毒素への曝露、慢性疾患の増加、その他数え切れないほどの要因だ。しかし、 小学校の 30%が毎日の休憩時間を義務付けなくなり、28州では休憩時間に関する規定がまったくないため、学校も保護者も、子どもたちの自由な屋外時間を一貫して擁護できていない。
では、外で遊ぶ時間がないことによる心理的な危険性はどうだろうか?
アメリカの 12歳から 17歳の青少年の 20%が過去 2週間に不安症状を経験し、18%がうつ病の症状を報告している。高校生の 40%が、持続的な悲しみや絶望感を訴えている。2023年のアメリカ疾病対策センター(CDC)の調査によると、青少年の 9%が自殺未遂を経験している。もちろん、これらすべてが屋外で過ごした時間やその不足に起因するわけではないが、しかし、私たち大人が子どもたちの発達の根本的な部分を奪っているため、こうした外遊びの不足は、結果として生じる悪影響の少なくとも一部に責任があるかもしれない。
・子どもたちは屋外で自由に遊ぶ必要がある
研究者で心理学者のピーター・グレイ氏は、「子どもは本来、大人に頼らずに自分で遊び、探検するようにできている」と述べている。グレイ氏は、子どもの遊びに対する生理的、心理的欲求を熱心に擁護しており、著書「Free to Learn」では 、子どもの発達にとって自主的な時間を持つことが学業成績から人生の結果まであらゆることに波及効果をもたらす重要性を主張している。グレイだけではない。レノア・スケナジー氏が著書『Free Range Kids』で主張するように、まさに「フリーレンジ」という言葉が示す通り、子どもたちに必要なのは、四方の壁と大人の監視という檻に閉じ込められるのではなく、自由に走り回る能力なのだ。
スケナジー氏は 10歳の娘をニューヨーク市の地下鉄で一人で帰宅させたことで、全国的な話題を呼んだ。これは、誰にも監視されず、自由な屋外時間の最高の例だった。
しかし、その見出しは決して良いものではなかった。記者たちはすぐに彼女を「アメリカ最悪の母親」と呼び、メディアは猛烈な批判を浴びせた。ほんの数十年前までは当たり前だった、見守られていない子どもがスキャンダルになった。しかし、スケナジー氏は息子に、多くの子どもたちがその欠乏症に苦しんでいるもの、つまり自由を与えていたのだ。
子どもたちに屋外で過ごす時間を与えるのに、ニューヨークの街を自由に歩き回らせるといった極端なことは必要ない。ほとんどの親がそれに抵抗するのは当然だろう。
しかし、「ニューヨークの街を一人でぶらぶら歩く」ことと「まったく外に出る時間がない」ことの間には、実に様々な選択肢があり、その中間に位置する親がほとんどいないのが実情だ。
キャンパス内に庭園のある私立学校、森の学校、自然の中で過ごすことに重点を置いたホームスクールのグループなど、子どもたちに屋外で過ごす時間を与えるプログラムでさえ、それぞれ軽薄、奇妙、過激だと見なされる。
米国小児 科学会は、 2歳以下の子どもには最低 30〜 60分の屋外での自由遊びを推奨している。
CDC(アメリカ疾病対策センター)は、3歳から 5歳までの未就学児には、少なくとも 3時間の計画性のない活発な自由遊び(そのうち少なくとも 1時間は屋外で過ごすこと)を推奨している。また、6歳から 17歳までの学齢期の子どもには、少なくとも 1時間の活発な運動(できれば屋外で)を推奨している。
これらはすべて、アメリカの最も主流の保健当局が推奨する基準値だ。多くの独立した心理学者、発達専門家、教育研究者は、これらの数値が最低限の基準値であると考えている。
19世紀のイギリスの教育者であり、その教育法が今日でも多くのホームスクーラーに使われているシャーロット・メイソンは、子どもたちは可能な限り 1日 4〜 6時間を屋外で過ごすべきだと主張し、こう述べた。「外に出られるときは、屋内にいてはいけない」
メイソンは、屋外での時間を「休憩時間」ではなく、それ自体が子どもの教育の基本的な一部だと捉えていた。
幼少期においては、屋外での時間を正式な指導よりもさらに重要だと考え、子どもたちの注意力、好奇心、観察力を育むのに役立てた。彼女は自然散策、天候や野生生物の観察、自然日記のつけ方、そして途切れることのない長時間の自由遊びを推奨した。
この自由な遊び時間は、子ども時代の気まぐれな時間の一部であると同時に、非常に重要な役割を果たす。
自由な遊びは、子どもの認知発達、想像力、そして実行機能をサポートする。身体活動は、筋力、協調性、そして運動能力を発達させ、不安を軽減することが示されている。
研究によると、土の中の微生物叢に触れることで免疫システムが強化され、ストレスが軽減されることが示唆されている。自然光を浴びることは、子どもの自然な概日リズムを整えるのに役立つ。
そしてもちろん、日光に当たるとビタミンDレベルも向上する。ビタミンDが不足すると、疲労感や免疫力の低下から、ご想像のとおり、不安やうつ病まで、あらゆる症状を引き起こす可能性がある。
子どもたちは、自由に遊んだり、屋外で過ごしたりする機会がないため、肉体的にも精神的にも苦しんでいる。
新鮮な空気と自由は、たとえどれほど当たり前のことのように思えても、子どもたちの健康と成功にとって不可欠であり、空気や水のように生存に不可欠であると同時に、健康にも不可欠なのだ。
私たちの両親や祖父母は、このことを直感的に知っていた。私たちの先祖は、それが疑問になることさえ考えたことがなかったが、私たちの文化は、これを徐々に蝕み、今では、新鮮な空気と自由な遊びは、子どもたちの生活のほんの一部でしかなくなった。
ここまでです。
ふと、自分の小さなときのことなどを思い出します。余計な部分となりますが、少し書いてみたくなりました。
自分の幼少期。そして「葉隠」
確かに思い出せば、私たちの世代の子ども時代を考えてみると、「外で遊ばない」ということは、あまり考えられないことでした。
そして、その世界は大人が介入してこない世界で、子どもたちだけで、あるいは自分ひとりで考えて、遊びにしていかなければならない。
幼少の頃住んでいた北海道の田舎は、確かに自然が多く、夏は虫取りや川での釣り(そのあたりの何でもない小川でも釣れました)、冬は雪の中で遊ぶわけですが、いろいろと「リスク」も学んでいくわけです。
たとえば、のどかな遊びの代名詞である「雪合戦」なんてのも人生を考えさせるもので、最初は子どもたち同士で普通にやっているんですけれど、誰かが「雪の中に石を入れて投げつけてくる」という試みを始め、今度は他の子どもたちもそれを模倣したりする。
場合によっては、怪我か流血の世界に発展してしまう。
単なるのどかな雪合戦が「本気で逃げて、本気で相手を倒すための戦い」に発展していく…という修羅場と化していく。
夏は夏で、奥深い森林とか、自分がもはやどこを歩いているのかわからない草原だとかを歩き続けていました。
大人がいれば必ず「そんなことはやめなさい」と言うはずです。でも、大人はいない。そこは、子どもの領域なんです。
私は男の子ですから、周囲も男の子で、男の子は危険なことが好きな面はあるのかもしれません。しかし、それで「痛い目に遭って」痛みというものを学んだりする。
そういえば、作家の三島由紀夫さんの『葉隠入門』という本があり(Amazon)、これは、江戸時代に書かれた、いわゆる武士の心得としての書物「葉隠」を解説しているものですが、その中に、「子供の教育」という項目があります。その本自体が今すぐは見当たらないですので、Wiipedia や AI で、その部分を思い出していたんですが、「子どもはとにかく自主的にのびのびと育てることが重要」だと書かれています。
この場合は「葉隠」ですので、武士の子どもを対象にしたものですけれど、どんな子どもにも当てはまることかもしれません。
Geminiによる『葉隠入門』の解説
『葉隠入門』に基づく教育の主な特徴
・子供の世界を尊重する: 子供は子供同士の遊びや世界の中で、自主的にのびのびと成長させるのが良いとされています
・自然への畏怖: 自然に対する畏怖や恐怖心を通じて、生きるための本能的な感覚を養うことを重視します。
・現代的な視点: 三島由紀夫は『葉隠』を通じて、死を意識することで逆に生を肯定し、強靭な精神を育むことを説いています。
この教育観は、過保護にせず、ある程度の自己責任の中で失敗から学ばせる現代の子供のメンタル強化法にも通じる点があります。
Gemini
しかし…こんな堅苦しいことを言わずとも、かつての日本人の子どもは、いろいろな点で大変に輝いていたようです。以前、作家の渡辺京二氏の著作『逝きし世の面影』(Amazon)を何度か取りあげたことがありました。その第十章「子どもの楽園」などを読むと、幕末や明治の初めに来日した外国人たちが、驚きと共に日本人の子どもたちを賞賛していた記録がたくさん紹介されます。これは、今から 11年ほど前の In Deep の記事「革命(3) - 革命的行動の最上位は「子どもたちへの無条件の愛」を獲得した社会に戻すこと」などにあります。その中から、1899年(明治22年)に来日したイギリス出身の新聞記者であるエドウィン・アーノルドという人の手記から抜粋して締めさせていただきます。来日した外国人たちから見ると、当時の日本人の子どもたちは、おおむねこんな感じに映っていたようです。もちろん、これは 100年以上前の過去の日本の話です。
✔ 『逝きし世の面影』 - 子どもの楽園より
エドウィン・アーノルドは 1899年(明治 22年)来日して、娘とともに麻布に家を借り、1年2ヶ月滞在したが、「街はほぼ完全に子どもたちのものだ」と感じた。
こう書いている。
「東京には馬車の往来が実質的に存在しない。… 従って、俥屋(くるまや)はどんな街角も安心して曲がることができるし、子どもたちは重大な事故をひき起こす心配などはこれっぽっちもなく、あらゆる街路の真っ只中ではしゃぎまわるのだ」
「この日本の子どもたちは、優しく控え目な振る舞いといい、品のいい広い袖とひらひらする着物といい、見るものを魅了する。手足は美しいし、黒い眼はビーズのよう。そしてその眼で物怖じも羞かみもせずにあなたをじっと見つめるのだ」
子どもたちが馬や乗り物をよけないのは、ネットーによれば「大人からだいじにされることに慣れている」からである。彼は言う。
「日本ほど子どもが、下層社会の子どもさえ、注意深く取り扱われている国は少なく、ここでは小さな、ませた、小髷をつけた子どもたちが結構家族全体の暴君になっている」
モースは言う。「私は日本が子どもの天国であることをくりかえさざるを得ない。世界中で日本ほど、子どもが親切に取り扱われ、そして子どものために深い注意が払われる国はない。ニコニコしているところから判断すると、子どもたちは朝から晩まで幸福であるらしい」
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コメント
名無しのごんべさん
2026年02月26日 20:47
家から見渡せる公園があるけど、午前中は定年後のゲートボール大会、それが終わったら小さいお子さんを連れたご家族、午後2時過ぎから夕方まで小学生がわんさか、夕方以降は犬の散歩にやってくるご家族。我が家の近所は違う世界???
In Deep
https://indeep.jp/the-collapse-of-childhood-play/
Z世代が実践、スクロール中毒を抜け出して集中力を取り戻す3つの方法
2025.06.14 18:00
Chris Westfall | Contributor
ネガティブなニュースやソーシャルメディアのコンテンツをチェックすることがやめられなくなり、半ば依存的になってしまう「ドゥームスクローリング(Doomscrolling)」が、働き手の生産性を奪っている。そうした中、ネットを使う際の集中力を取り戻そうとする動きの先頭に立っているのが、Z世代の若者たちだ。
TikTok、インスタグラム、Xなどのソーシャルメディアプラットフォームは、思わずやみつきになるようなフィードバック・ループを作り出し、私たち人間が自然に持つ「ネガティビティ・バイアス(ポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に影響を受けること)」に乗じるように設計されている。その結果として生じるのが、ドゥームスクローリングによるその場限りの興奮、社会が分断されているという意識の高まり、生産性の低下、時間の浪費を招く注意力散漫だ。ソーシャルメディアの世界には、皮肉を込めた発言や恐怖、「FOMO(取り残されることへの不安)」が溢れており、いわば「怒りの経済」と言うべき体系を形作っている。だが、こうした状態への対抗策として、Z世代が行動を起こしつつある。彼らは、ソーシャルメディアに支配された世界に対して、より理性的なアプローチを取る動きの先頭に立っているのだ。実際、ドゥームスクローリングをやめることが不安の連鎖を断ち切り、ネガティブな物事に動揺しない強い心を育むために役立つことが判明している。
■ドゥームスクローリングが奪う生産性
Z世代と、その下のアルファ世代を対象に英国で実施された調査では、対象者の50%近くが「インターネットがない世界で育ちたかった」と回答した。若年層に対するソーシャルメディア禁止令を歓迎する者も、半数に達した。
「The Offline Club(オフライン・クラブ)」というインスタグラムのアカウントは、50万人を超えるフォロワーを獲得している。ある意味皮肉なのは、「ソーシャルメディア断ち」を勧める「クラブ」が存在している場所がソーシャルメディアだということだ。このクラブは、メンバーに対して「スマートフォンの画面を見つめている時間を、リアルで過ごす時間に置き換えよう」というスローガンを掲げ、「(スマートフォンの)電源を切り、リアルで人とつながり、リラックスして楽しもう」と呼びかけている。ドゥームスクローリングしている時に、こうした「リラックスして楽しい」という感情を覚えるだろうか?(みなさんと同様に、私もそう感じることはない)。あなたは、ほんの一瞬だけ「チェックしたい」という欲求を感じ、悪いニュースをもたらす通知をスクロールして、退屈をしばし紛らわそうとしたことはあるだろうか?(私はある)。そして、画面を見始めてから2時間が経過し、「おしゃべりする赤ちゃん」ミームを6つ見たあとも、インターネットから離れられないでいる自分に気づく──そして、ドゥームスクローリングの落とし穴にはまって、1日の貴重な数時間を奪われたことに気づいたことがあるのではないだろうか?
米国立衛生研究所(NIH)によると、ソーシャルメディアは、スロットマシンとかなり近い、「当たり」が不定期に登場する変動比率スケジュールで運用されているという。報酬を求めるのは人間の本性だ。そして「いいね」やコメント、新しいフォロワー、ユーモラスなミームなどの新しい発見がないかと探索する行動は、私たちの本性を利用して、さらなる報酬や「いいね」、トレンドを求める、終わりのない探索へと駆り立てる。これはまさに、生産性の低下や集中力の喪失、つながりの断絶、人との会話の回避を招くシナリオだ。あなたも、「いいね」の数が社会的ステータスを意味する、という誤解に陥ったことはないだろうか? だが、人気と知性は全く異なるものだ。ネガティブなニュースや極端な意見の洪水に常にさらされていると、世の中に関する歪んだ見方を持つようになる。この場合ユーザーは、人間社会が実態以上に敵意に満ちていて分断が進んでいる、と信じるようになる。これが不安や冷笑的なものの見方、さらには絶望の増大につながる。こうしたネガティブな感情が盛りだくさんな状況が、仕事でより良い成果をあげ、自分にとって本当に大切な人間関係に深く関わり、自分の最高の部分を引き出すのに役立つ、などということがあるだろうか?
■ウェルビーイングとソーシャルメディアの世界:Z世代の動き
Pew Research Center(ピュー研究所)によれば、ソーシャルメディアのアルゴリズムはユーザーのウェルビーイングではなく、エンゲージメントを最優先しているという。人をやみつきにするものが、心の糧になるとは限らない。また、注意散漫な状態は創造性の敵だ。思わずスクロールし続けてしまうコンテンツが、有用な情報を提供してくれるとは限らない。非常に率直に言ってしまえば、現実的な何かを提供しているわけでもない(インスタグラムをチェックしてみるといい)。情報を過剰に与えられていると、注意持続時間が短くなり、集中するのが困難になる。職場では、生産性の低下につながる。Z世代はこうしたからくりや、「つながっている」という認識が幻想であることに気づきつつある。そんな中、本当に大切なことを再発見するための取り組みとして新たな動きが起きており、際限のない画面のスクロールを押しとどめる効果が実際に出つつある。ドゥームスクローリングやソーシャルメディアの使いすぎによる落とし穴を避けるために、Z世代が実行している3つの方法を以下に紹介しよう。
1. 「摩擦」を設ける
ミシガン大学の研究チームによる調査では、スマートフォンを少しだけ使いづらく、スムーズに使えないようにするだけで、ユーザーが自分の認知スキルを活用するようになることが示唆されている。この研究では、スクロールする前に頭を使う必要が発生するように設定した場合、画面を見る時間が16%減少するという結果が出た。全世界で300万人以上が使用しているとうたう『Freedom』というアプリには、プラットフォームに関係なく、ユーザーが注意力減退の原因になっていると感じるアプリやウェブサイトをブロックする機能を持つ。また、文字通りスマートフォンを手に取る回数を減らすのに役立つ『Moment』というアプリもある。ほかにも、『ZenScreen』は、画面をオンにする時間とオフにする時間をコントロールするアプリだ。例えば、ネットを見ることに10分間を費やした場合は、このアプリが強制的に20分間、スマホの画面を非表示にする、といった具合だ。こうしたアプリを使うかどうかはともかく、ネットを使う時間に上限を設けることは、失われる時間や注意力散漫を最小限に抑えるために非常に有用な最初のステップだ。
2. デジタル・ミニマリズムと、シンプルフォンの活用
クリス・カスパーは、Techless(テックレス)という企業の創業者だ。同社では、価格399ドル(約5万7400円)のシンプルなスマートフォンを販売し、「健全なテクノロジーと共に、充実した人生を送れるよう導く」とうたっている。同社が販売する『Wisephone(ワイズフォン)』のメニュー画面にはアイコンがなく、文字だけが表示される。モニターの色も2色だけで、フォントも2種類に限られる。
カスパーは、自社製品のデザイン哲学について、「私たちは、『本当に私たちにとって良いものとは何か?』という問いを投げかけている」と語る。スマートフォンの対極にあるシンプルフォンを手に取る心情は、90年代へのノスタルジアから来る、古き良きものを求める旅ではない。これはZ世代、そしておそらくはすべての世代にとって、ドゥームスクローリングの悪影響から逃れるための重要なプロセスなのだ。
3. メンタルヘルス、実体験、つながりを最優先する
米国で各世代の研究やコンサルティングを行う「センター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクス(CGK)」の調査では、「米国にメンタルヘルス危機が存在する」と考える者の割合は、Z世代の回答者では84%に達した。事実、タイム誌も「インスタグラムは、我々の世代に深刻な被害をもたらしている。これを食い止めるための取り組みが必要だ」というタイトルの記事を掲載したほどだ。ここにおける問題の核心は、いかにバランスを取るか、という点にあるように思える。「一旦立ち止まること」は、より良いウェルビーイングに向けた最初のステップになるだろう。自分自身に対してドゥームスクローリングを新たな視点(おそらくは、より現実的な視点)で見るよう、問いかけてみるのだ。これまで思っていたほど無邪気なものでもないし、無害でもないものとして。Z世代は、現実世界での活動に向かう他の選択肢を積極的に探している。スローガンは「スクロールを控えて、もっとリアルを生きよう」だ。
■「デジタル境界線」の重要性:ドゥームスクローリングによる生産性低下を防ぐために
あなたは、どんな「デジタル境界線」を設定しているだろうか? 複数の科学研究によると、人は割り込みが入ると、もともとの思考の流れを取り戻すのに23分以上の時間がかかるとされている。こうした「回復までにかかる時間」の存在は、十分に裏付けがある話だ。メールやSlackのアラートなども、こうした思考の流れの断絶を引き起こすおそれがあるが、さらにドゥームスクローリングによって、自ら生産性の低下を引き起こしているとしたら、いったいどうなるだろうか?複数のタスクを切り替えていると生産性が大幅に低下するが、時には業務上そうせざるを得ないこともある。注意力が散漫にならないよう管理を行うことは、時間管理の重要な側面の一つだ。そして、生産性を発揮すべき時間帯に、何であれば割り込みを許すのかを決めておくことも大切だ。毎日のつらい仕事から逃避しようとして、結局は不満やネガティブな感情にとらわれ、息抜きに見るものはAIが生成した現実にはあり得ないような動画だった、ということはないだろうか? 本当に必要なのは、やるべきタスクに取り組む集中力なのに。しかし、それはあなただけではない。
ドゥームスクローリングから抜け出し、ソーシャルメディアのネガティブな影響を最小限に食い止めるためのカギとなるのが「デジタル境界線」だ。ネットは文字通り「情報に満ちた世界」や、AIによる洞察を提供してくれるというメリットもあるが、同時にフェイク画像やネガティブな言説、二極化をあおる投稿などが集まり、人のメンタルをむしばむ汚水だめのような場所でもある。自分の人生や仕事、キャリアに、どんな要素を取り込みたいだろうか? バランスを保ち境界線を引けば、自分にとって一番重要な事柄に集中できる。あなたが本当に人生に取り入れても良いと思う要素は何だろうか?Z世代は、失われた集中力を取り戻すためにドゥームスクローリングをやめ、有意義なつながりへと回帰するために、マインドフルで意識的な取り組みをすでに始めている。
(forbes.com 原文)
Forbes
https://forbesjapan.com/articles/detail/79744?read_more=1
アーミッシュ:人間の生物学に沿った完全なライフスタイル
2025/06/0801:17 0 -
◎>
https://x.com/SammyRArmstrong/status/1931045935607673317
Google翻訳
アーミッシュの肥満率はわずか4%で、ほとんどのアメリカ人の9分の1です。彼らは私たちのほとんどよりも不安が少なく、長生きします。
彼らの秘密は?それは、食事制限やジム、フィットネストラッカーではないということ。しかし、衰えることなく年を重ねることができる10のシンプルな習慣: 🧵
◎>
アーミッシュの成人のうち肥満者はわずか4%です。
これを典型的なアメリカ人の 31 〜 36 % と比較してください。
アーミッシュの子供が肥満になる可能性は、同年代の子供に比べて 3 分の 1 です。これは、2 型糖尿病の発生率が 50% 低下することを意味します。
これに加えてアーミッシュの男性は1日平均18,425歩歩きます。
女性は1日平均14,196歩歩きます。これは、5,000歩以下しか歩かない典型的なアメリカ人の3〜4倍に相当します。フィットネストラッカーもジムの会員も不要。彼らが私たち全員より長生きしている理由は次のとおりです。
https://x.com/SammyRArmstrong/status/1931046025747480860
https://x.com/SammyRArmstrong/status/1931046097809748426
◎>
1. 努力せずに大量の身体活動を行う。
日常的な肉体労働:農業、建設、雑用。
6歳から60歳まで活動レベルの低下なし:
• 朝食前に屋外で100歩歩く
• 生地をこねる:12分間の上半身トレーニング
• 20分以上動かずに座らない
2. 彼らは自分たちの土地で採れた本物の食べ物を食べます。
自家飼育の肉、庭で採れた野菜、毎日焼きたてのパン。
• 4時間収穫ルール:収穫後4時間以内に野菜を食べる
• 甘味料2種類:蜂蜜とメープルシロップのみ、1日最大大さじ1杯
3. 週に数回発酵食品を摂取します。
ザワークラウトのような発酵食品は腸の健康と免疫力を高めます。
アーミッシュには次のようなものがあります:
• 毎食前に発酵野菜大さじ3杯
• 関節の健康のために毎日8オンスの骨スープを摂取する
4. 彼らは正午に主食を食べます。
これは概日リズムと一致し、最適な消化を実現します。
この時期は消化器系が自然に最も強くなります。
• 太陽が最も高い午前11時30分から午後12時30分まで、最も大きな食事をとる
• 食前、食中、食後20分は飲酒を控える
5. 実質的にスクリーンを見る時間はゼロ。
ほとんどのアーミッシュの人々はテレビ、コンピューター、スマートフォン、タブレットを避けています。
これは睡眠の質の向上と不安率の低下を意味します。
• 午前4時半から5時の間にアラームなしで自然に目覚める
• 朝日を浴びる:リズムをリセットする
6. 伝統的な調理方法を採用しています。
食品は缶詰、漬物、発酵などの方法で保存されます。
これにより栄養素の保持が最大化されます。
• 食べる15分前に大さじ1杯のリンゴ酢を飲む
• 消化を助けるために甘いものを食べる前にタンポポの葉を食べる
7. 現代の毒素への曝露が最小限に抑えられます。
車がないということは、大気汚染にさらされるリスクが減ることを意味します。
加工食品を最小限に抑えるということは、合成化学物質が少なくなることを意味します。
アーミッシュの子供たちは農場の環境のおかげで喘息の発生率が低い。
8. タバコやアルコールの使用は極めてまれです。
これにより、タバコ関連の癌発生率が 63% 低下します。
全体的な癌罹患率は一般人口より 40% 低くなります。
彼らの体は化学物質による攻撃と常に戦っているわけではない。
9. 自然な睡眠リズムを整えます。
午後9時から午前4時30分まで、一貫して睡眠をとります。
• 背骨を整えるために、首の下に小さな円筒形の枕を置きます。
• 寝る前は電子機器の使用を控え、会話と祈りだけにします。
これにより、健康的なホルモンの生成と、回復力のある睡眠がサポートされます。
10. 強力なコミュニティの絆は心の健康を支えます。
彼らの生活は家族、教会、地域社会を中心に回っています。
彼らのうつ病および不安率は平均よりも↓高い。
• 夕方の感謝の輪:寝る前に家族で3つの感謝の気持ちを分かち合います
• 頭を冴えさせる記憶ゲームを毎週開催
これらは孤立した習慣ではありません。
それらは人間の生物学に沿った完全なライフスタイルの一部です。
それぞれの要素が他の要素を補強し、複合的な健康効果を生み出します。
。高価なサプリメントやジムの会員権ではないことを証明しています。それは人類が進化してきた慣習に戻ることです。自然な動き、本物の食べ物、強いコミュニティ、概日リズムの尊重。現代医学は、彼らが決して放棄しなかったものにようやく追いつきつつあります。人間の生物学に沿って考えれば、健康は複雑ではありません。
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つながっているこころ 2
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「ジョブズは自分の子どもにiPadを使わせなかった」ことが意味する「極めて危険な現実」
橘玲/現代新書
2024.11.14
ふつうに生きていたら転落するーー! あまりに残酷な「無理ゲー社会」を生き延びるための「たった一つの生存戦略」とは?
作家の橘玲氏が、ますます難易度の上がっていく人生を攻略するために「残酷な世界をハックする=裏道を行く方法」をわかりやすく解説します。
※本記事は橘玲『裏道を行け』(講談社現代新書、2021年)から抜粋・編集したものです。
SNSに「ハマる」理由
2021年10月、フェイスブックの元幹部が大量の内部資料をメディアに提供したうえで、米上院小委員会の公聴会で、「インスタグラムを利用するティーンエイジ女子の3人に1人が自分の体形が劣っていると感じている」などの社内調査を、自社の利益を優先するために隠していたと証言した。スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』(新潮新書)は、SNSの危険性を説いて日本でもベストセラーになった。この本でハンセンは、フェイスブックのようなSNSは脳の報酬系をハックするようにつくられていて、その過剰な利用が不眠やうつの原因になり、子どもの健全な成長を阻害すると警鐘を鳴らしている。徹底的に社会的な動物として進化してきたヒトには、食べることとセックスする(愛される)ことと並んで、もうひとつ決定的に重要な欲望の対象がある。それが「評判」だ。よい評判は仲間内での地位を高め、安全の確保や性愛のパートナーの獲得につながる。逆に悪い評判がたつと共同体から排斥され、旧石器時代にはこれは即座に死を意味しただろう。このようにしてヒトは、よい評判を得ると幸福感が増し、悪い評判によって傷つく(殴られたり蹴られたりしたときと同じ脳の部位が活性化する)ようになった。わたしたちはもともと、自分の評判(他者からどう見られているか)にきわめて敏感なように「設計」されている。フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどは、評判をリアルタイムで可視化するというイノベーションによって脳の報酬系にきわめて強い刺激を与えている。
■行動依存をもたらす「6つの要素」
心理学者のアダム・オルターは「依存テクノロジー」を論じるにあたって、ハンセンと同じく、スティーブ・ジョブズが自分の子どもにiPadを使わせなかったというエピソードから始めている。ジョブズだけではなく、『WIRED』元編集長のクリス・アンダーソンやツイッターの創業者エヴェン・ウィリアムズなどIT業界の大物たちも、子どもにデジタルデバイスを買い与えなかったり、その使用に厳格な時間規制をしていたという。オルターによれば、行動依存には6つの要素がある。
(1)目標:ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること
(2)フィードバック:抵抗しづらく、また予測できないランダムな頻度で、報われる感覚(正のフィードバック)があること
(3)進歩の実感:段階的に進歩・向上していく感覚があること
(4)難易度のエスカレート:徐々に難易度を増していくタスクがあること
(5)クリフハンガー:解消したいが解消されていない緊張感があること
(6)社会的相互作用:強い社会的な結びつきがあること
これは〈フロー〉の条件と同じで、SNSやオンラインゲームは6つの要素のほとんどすべてを備えている。そのためわたしたちは、スマートフォンから手を放すことができなくなってしまったのだ。さらに連載記事<「トランプ再選」に落胆する「リベラル」がまったく理解していない、世界中で生きづらさを抱える人が急増した「驚きの原因」>では、人生の難易度が格段に上がった「無理ゲー社会」の実態をさらに解説しています。ぜひご覧ください。
*本記事の抜粋元・橘玲『裏道を行け』(講談社現代新書)では、残酷な社会を生き抜いて人生を攻略するための「思考のヒント」をさまざまな観点から解説しています。世界が複雑化し、ますます人生の難易度が上がっていく時代に必読の1冊です。
ゲンダイ
https://gendai.media/articles/-/141162?page=1&imp=0
“スマホ依存症”のやす子が「100時間スマホなし」の社会実験をした結果…SNSでメンタルがダメになるこれだけの理由
2024/3/6(水) 6:00
■やす子が「100時間スマホなし生活」を強いられたら?
今どきの若者らしくスマホが手放せないやす子さん(25)
2月22日に放送されたテレビ番組「社会実験バラエティー『マル日後にわかるホント』」(日本テレビ系)をご覧になって、他人事ではないと感じた方も多いのではないだろうか。
番組の序盤で取り上げたのは「スマホ依存症」の問題。“社会実験”の対象は、お笑い芸人のやす子だ。
1日10時間以上もスマホに接しているという彼女には、依存症気味という自覚がある。ついエゴサーチをしてしまうだけではなく、Xで寄せられた声すべてに「いいね」を押すといったサービス精神を発揮していることも、長時間使用の原因となっているようだ。そんな彼女に、番組側は「100時間スマホなし生活」を課す。その結果、普段は気にもとめなかった風景に目を留めたり、食事にも気を使うようになったり、と良いこともあるのだが、一方で「スマホに触りたい!」と叫ぶという明らかな禁断症状も…。禁断症状のあたりは、芸人ならではのリアクションという感じもするものの、全体として情緒が不安定になっていく様を番組はリアルに紹介していく。
その結果、「スマホなし生活」体験を経て、やす子はスマホとの適切な距離を取ることの重要さを知る――というわかりやすい展開が途中まで見られるのだが、興味深いのは番組が追加取材した直近の彼女の状況だろう。実は「スマホを使い過ぎていた」という反省はあっという間にどこかに消えて、すぐにもとに戻っていたことが判明した、というのがオチになっていた。
彼女のチャレンジは、現代人にとっていかにスマホが生活の中心を占めているかを面白く示した“社会実験”になっていたといえるだろう。スマホからたった数日離れただけで「触りたい!」と叫ぶ姿はいかにも芸人らしく笑いを誘うものになっていたわけだが、一方で、自分だったらどうだろうかと考えた時に、ああはならないと自信を持って言える人は、どのくらいいるのだろう。やす子の場合は、不特定多数の人とつながること自体が仕事と直結している。対して、多くの一般人は、そこまでつながる必要はないのに、ついついつながり、それによって余計なストレスを抱えてしまっているのではないだろうか。そしてそれに気づいているのに、抜け出せないでいる、つまりは依存症に陥っているのではないか。
■スマホが招くメンタル危機
番組にも登場し、「100時間スマホなし生活」のためのアドバイスを送ったのが、『スマホ脳』の著者で知られるアンデシュ・ハンセン氏だ。スマホ依存の危険を説いた同書は世界的ベストセラーとなった。
そのハンセン氏の新著『メンタル脳』(マッツ・ヴェンブラードとの共著、久山葉子訳)には、近年、特に若い世代のメンタルがスマホやSNSによってダメージを受けていると警鐘を鳴らしている。ハンセン氏の母国、スウェーデンでは、「ここ20年、不眠で受診する10代の若者が10倍に増えています」という。その大きな理由の一つが、スマホやSNSというわけだ。ハンセン氏の説は概ね以下の通りである。
――もともと人の脳は「他人と連帯すること」、つまり、つながりを得ることに幸せを感じるようにできていた。集団生活に歓びを感じないと、外敵に立ち向かえないし、生活を維持できないからだ。孤独でいるよりも、誰かとつながっていることに快感をおぼえるようになっていることになる。
そうした脳の基本的な性質は変わっていない。しかし、一方で、技術の進歩により、必要以上に他人とつながるようになってしまった。これが深刻なメンタル危機の理由となっている――。
ハンセン氏が説く「SNSがメンタルを下げるメカニズム」を詳しく見てみよう(引用は『メンタル脳』より)。
負け犬感を増すSNS
今ほど自分がダメに思える理由が多い時代はいまだかつてありません。SNSでは常に、見た目には完璧な人生を見せつけられます。友人の修整済みの写真投稿(誰だって1番素敵な自分を見せたいですし、満足した写真しかのせません。それは皆同じです)、さらには何千人というインフルエンサーのキラキラした人生が連続投下されてきて、それと自分を比べてしまいます。後ろに見えている景色からインテリア、化粧、照明まですべてプロの手を借りていると頭ではわかりつつも、です。写真はもちろん編集されていて、ちょっとした難点くらいいくらでも隠せます。その結果、とてもではありませんが自分には手の届かないようなレベルになっています。
自分にとっての自分(脳が見せる自分のイメージ。お世辞にもイケてるとは言えません)と他の人(彼らが見せたい素敵なイメージ)を比べたら、いつだって自分が負け犬、もう本当に完敗です。そして私たちの多くが、起きているほとんどの時間スマホを手にしているため、常に自分よりもかっこよく、賢く、リッチな人気者がいることを思い知らされることになります。その影響で、私たちはヒエラルキーの下へ下へと落ちていき、グループから追い出されるリスクが高まったように感じるのです。それを脳は何よりも恐れているはずなのに。とはいえ「人間はこれまでもずっと自分を他人と比較してきたのでは?」と思うかもしれません。それはそうなのですが、昔はグループも小さくてぱっと見渡せるくらいのサイズでした。ところが現代の私たちは世界中の人と競っているのです。
■なぜスマホはメンタルを下げる?
SNSを見ている時間やインフルエンサーの存在がどれだけ影響を与えているのか、正確に証明することはできませんが、グループのヒエラルキー内で自分の地位が下がり続けていると感じると、心の健康を害するのは実に当然のことです。様々な調査で、1日に4〜5時間SNSをやっている若者は「自分に不満を持っている」「不安や気分の落ち込みを感じている」ことが示されています。とりわけ10代の女子にそれが顕著なのは、女子の方がスマホを見ている時間の多くをSNSに費やしているからかもしれません。平均的に言うと、同世代の男子はもっとゲームをしています。調査対象になった15歳女子の62%が心配、腹痛、不眠といった長期的なストレスの症状を訴えていて、80年代に比べてその数は倍になっています。私たちは必死でグループに属していようとした人たちの子孫です。1日に何時間も他人の完璧な生活と自分を比べてしまうことで、脳は「自分はヒエラルキーの1番下にいる。グループから追い出されるかも!」と勘ちがいしてしまうのです。それならば、自分にそんなメッセージを送る時間を制限する、つまりSNSを見る時間を減らすのが良いでしょう。不安には深呼吸が効くというアドバイスをしましたが、ここでは「SNSに費やす時間を1日1時間に留める」というのがアドバイスです。そうすれば心が元気になる可能性も上がります。
■セロトニン・レベルの影響
脳の中でつくられる「セロトニン」は驚くべき物質で、メンタルの様々な仕組みに影響するため、その役割も複雑です。しかし最も重要な仕事は、私たちが「どのくらい引きこもりたいのか」を調整することでしょう。セロトニンのレベルが低いとその人は自信を無くし、後ずさり、自分の殻に閉じこもってしまいます。これはうつによくある行動なので、一般的な抗うつ剤にはセロトニンのレベルを上げる効果があります。セロトニンの役割を理解するために、わかりやすい例を2つ挙げてみましょう。
1) セロトニンのレベルを上げる薬の混ざった水に小さな魚を入れると、魚たちは自信満々になります。慎重ではなくなるので、大きな魚に食べられてしまう危険が上がります。逆にセロトニンのレベルを下げる薬の入った水に入れると魚は隠れてしまい、飢え死にする危険があるほど慎重になります。つまりセロトニンのレベルがちょうど良くないと自然界では命に関わるのです。
2) カニはよくケンカをしますが、たいていは優勢な方のカニが相手を引き下がらせます。しかし劣勢なカニにセロトニンのレベルを上げる薬を与えると、そのカニは自分がヒエラルキーの上にいると思い込み、引き下がろうとしません。サルや人間といった大型生物のセロトニンもほぼ同じように機能します。ヒエラルキーの上位にいる個体は、人間でも脳のセロトニンのレベルが高いようです。それが社会的な自信につながっているのでしょう。
さてここで、「グループの中の居場所を失うのが怖い」という話に戻ってみましょう。もうわかると思いますが、その恐怖はセロトニンのレベルが下がったことからきています。セロトニンのレベルを上げる薬を飲むと、多くの人のメンタルが回復するのもよくわかります。なぜこんな寄り道をしてまで魚やカニの話をしたかというと、「自分が思っているヒエラルキーの位置」と「その人の精神状態」は大いに関係があることを示すためです。先ほどの「SNSの時間を限定する」というアドバイスを思い出し、自分のメンタル改善に役立てましょう。
アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen)
1974 年スウェーデン・ストックホルム生まれ。精神科医。ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得後、ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学に入学。現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行い、その傍ら有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。『一流の頭脳』は人口 1000 万人のスウェーデンで 60 万部が売れ、『スマホ脳』はその後世界的ベストセラーに。『最強脳』『ストレス脳』なども合わせた日本での同氏の著作は累計 110 万部を突破している。
マッツ・ヴェンブラード(Mats Wanblad)
1964年スウェーデン・ストックホルム生まれ。児童文学作家。
協力:新潮社 Book Bang編集部
Book Bang編集部
Yahoo!ニュース
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