2020年08月09日

森さやか: 記録的ハリケーン「イサイアス」米上陸〜観測史上最低限の太平洋と統計史上最多ペースの大西洋

森さやか: 記録的ハリケーン「イサイアス」米上陸〜観測史上最低限の太平洋と統計史上最多ペースの大西洋
記録的ハリケーン「イサイアス」米上陸、首都やNYに最接近へ
森さやか | NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士8/4(火) 12:45
太平洋で観測史上初めてとなる「台風0個」が記録された7月、大西洋では統計史上最多となる「2個のハリケーン」が発生していました。そのうちの1つである「イサイアス(Isaias)」は、3日(月)アメリカに上陸しました。5日(水)にかけてアメリカ東岸を通過する見込みです。
■イサイアスの状況
イサイアスはアメリカ南東部のノースカロライナ州に、現地時間3日(月)夜、日本時間4日(火)正午頃上陸しました。上陸時の中心気圧は988hPa、最大風速は39m/sの「カテゴリー1」の勢力でした。これは「強い台風」に相当する強さです。
イサイアスは今後やや弱まり「トロピカルストーム」の勢力で北上を続ける見込みです。トロピカルストームとは、最大風速17〜32m/sの「台風」に匹敵する嵐です。
国立ハリケーンセンターの予想によると、イサイアスは4日(火)午後から夜にかけてワシントンDCやニューヨークシティなどを通過し、5日(水)にかけてアメリカ北東端のマサチューセッツ州などに接近する見込みです。その後、温帯低気圧となってカナダ東部を北東進する予想となっています。
ニューヨークシティは、7月に「フェイ(Fay)」の直撃に遭ったばかりです。最接近時のフェイの勢力は「熱帯低気圧(最大風速17m/s未満)」でしたが、地下鉄の構内が浸水したり、19歳の少年が海で溺死するなどといった悲しい出来事も起きています。
今回イサイアスにより予想される降水量は、ノースカロライナ州などで最大で200ミリです。
一方ニューヨークシティなどでも大雨が降る予想で、7月の月間降水量を上回る150ミリが予想されています。
大雨、強風や竜巻に加え懸念されているのが、高潮です。折り悪く、現在は満月の時期に当たるため、満潮の時間と嵐の接近が重なると、潮位が高くなって浸水のおそれが高くなります。
(↑すでにノースカロライナ州では、高潮の被害が起きているもよう)
■イサイアスの記録
このように、アメリカ東部の大都市圏を直撃し被害をもたらすと心配されるイサイアスですが、これまでに様々な記録を塗り替え、別の意味でも注目されてきました。
一体どのような記録なのでしょうか。
まず、イサイアスは「観測史上初めて7月に発生した、2つ目のハリケーン」(最大風速33m/s以上)です。1つ目はハナで、7月25日にテキサス州に上陸しています。次に、イサイアスは7月30日に最大風速が17m/sに達し、大西洋における今年9号のトロピカルストームとなりました。これは「大西洋の観測史上もっとも早い時期に発生した、トロピカルストーム9号」(最大風速17m/s以上)です。9号の平均発生日は10月4日ですが、イサイアスは2カ月以上も早く発生したことになります。記録はそれだけではありません。イサイアスの上陸で、アメリカには今年5つのハリケーンとトロピカルストームが上陸したことになりました。コロラド大学のクロッツバック教授によると、「8月3日の段階で5つ目が上陸するというのは、観測史上初めて」のことのようです。これまでの記録は1916年8月18日なので、2週間以上も早かったことになります。イサイアスの記録が、発生時期の早さだけに終わることを、心から願う気持ちです。

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「観測史上初・台風0?」の太平洋と「統計史上・最多ペース」の大西洋
森さやか | NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士7/30(木) 9:49
「観測史上もっとも台風の少ない7月」となるまで、残り2日を切りました。台風3号になるかと注目されていたハリケーン「ダグラス」が、日付変更線をまたぐ前に温帯低気圧に変わったこともあって、太平洋西部でその可能性がさらに高まっているのです。
本来なら7月というのは、台風の発生数が一年で3番目に多い月で、平年3.6個発生します。
一方大西洋では、真逆の現象が起きています。
今年はこれまでに、台風と同じ強さにあたるトロピカルストームとハリケーンの発生数が8個に達しています。これは観測史上最速ペースです。特に7月には4個発生し、まもなくもう1つ発生する見込みです。7月の月平均の1個を大きく上回っています。
9号イサイアスの行方
先に、新しい嵐がそろそろ発生すると述べましたが、「イサイアス(Isaias)」と名付けられる予定のトロピカルストームもまた、観測史上もっとも早い時期に発生した9号となる見込みです。9号の平均発生日は10月4日ですから、何と2カ月以上も早い発生となるのです。(追記:30日9号イサイアスが発生し、記録を更新しました。)
イサイアスの進路は大変危険なものです。ドミニカ共和国やハイチ、キューバなどに最接近または上陸して、来週明けにはフロリダ州を直撃する予想となっています。
活発なハリケーンシーズンの原因
なぜ今年は、大西洋で熱帯低気圧の発生が多いのでしょうか。
それは、風速や風向きの高度差が少ないこと、「西アフリカモンスーン」と呼ばれる季節風が強く、アフリカ西部で嵐が発生しやすいこと、そして海水温が高いこと、などが挙げられます。
海水温の平年差、カリブ海周辺では1〜2℃高く、アメリカ北東部沖にいたっては4℃近くも高いことが分かります。
アマゾンの火災との関係
大西洋の海水温の上昇は、アマゾンの森林火災を助長させる可能性があるようです。NASAとカリフォルニア大学の共同研究の結果、以下のようなことが分かっています。
「大西洋の赤道域の海水温が高い⇒アマゾンの水蒸気が北に引っ張り込まれる⇒大西洋上でハリケーンが多発する⇒アマゾンは乾燥し、山火事が起こりやすくなる。」
こうした気象条件に加え、森林伐採や、新型コロナウイルスの影響により消火作業が困難になる等の悪条件が重なり、今年アマゾンでは大規模な森林火災が起きてもおかしくないと考えられているようです。

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posted by datasea at 02:47| Comment(0) | ~ 自然現象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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