2019年09月08日

ヤス: 欧米メディアに見る認識〜世界はシンクロして不況に突入>>2020年-2021年に危機の引金


ヤス: 欧米メディアに見る認識〜世界はシンクロして不況に突入>>2020年-2021年に危機の引金
2019.09.01(第67回)
不況突入は必至か? 主要メディアに見る共通認識
9月になった。
あいかわらず世界は激動しており、特に世界経済はどんどん不安定感が増してきている。
まず、米国債券市場で、長期金利と短期金利が逆転する逆イールドが発生した。
10年物国債の金利が、2年物国債の金利を下回ったのだ。
通常、投資家が将来の経済動向を楽観しているときは、短期国債に人気が集まるので金利は長期国債の方が高い。
だが、近い将来の経済に悲観的な見通しだと、投資は短期国債から長期国債に移動する。
将来の景気対策としての利下げを見込んだ行動だ。その結果、長期国債の金利が短期のものよりも低下する。これが逆イールドだ。
過去の景気後退局面では、いずれも直前に逆イールドが発生していることから、景気後退のサインが点灯したとみなされる。アメリカでは1990年以降、3回の景気後退局面があったが、そのいずれにおいても、景気後退局面を迎える前に、逆イールドが発生している。
ただし、逆イールドが発生するとすぐに景気後退が始まるわけではない。
歴史的に見ると、景気後退には平均で2年2カ月ほどかかっている。
だが、そうではあっても市場は大きく反応した。14日のニューヨーク市場は、ダウ平均株価が大幅下落、800ドルを超える今年最大の下げ幅となったほか、15日の東京市場も、日経平均株価が一時450円以上値下がりする展開となった。いまは相場は回復しているものの、市場には景気後退の可能性を懸念する不安感が根強い。
■ドイツの景気後退、イギリス、イタリアなどの危険性
このようなとき、衝撃をもたらしたのがドイツの景気後退のニュースだった。
さんざん報道されているので周知だと思うが、どんなニュースだったのか確認しておこう。
19日、ドイツ連邦銀行は公表した8月の月報で、ドイツ経済が2019年7から9月期に第2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退に陥る恐れがあると警告した。また月報では、「ドイツの景気は19年夏もさえない見通し」だとし、再び「軽度の後退」に見舞われる可能性を明記した。定義上、2四半期連続のマイナス成長となれば景気後退とみなされる。
これに加え、合意なき離脱へと舵を切ったジョンソン政権のイギリス、そして政治的な混乱のなか、財政危機を向かえているイタリア、さらにドイツ同様に2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退入りを発表したブラジル、そしてかねてからの景気後退懸念でペソの急落に見舞われているアルゼンチンなど、各国で景気後退の赤信号が点灯している。
■欧米主要メディアの動向と自己実現的危機
このように、世界経済の今後を強く懸念させる状況だが、日本ではあまり大きく報道されているとはいえない。報道の焦点は日韓関係や米中貿易戦争などが中心的で、他の地域や分野の状況を十分にカバーできていないようだ。経済に関する全体的な報道のトーンでは、来年のオリンピックまでは好景気は続くという漠然としたイメージが先行しているように見える。
一方、欧米の主要メディアに目を転じると、アメリカをはじめとした各国で景気後退入りするのは時間の問題だとする認識が一般化しつつある。そして議論の焦点は、景気後退の可能性よりも、きっかけとなる事態を予見することに動いている。
いわば欧米の主要メディアでは、それこそ血眼になって景気後退の引き金を探る記事が増えているように見える。
欧米の主要メディアの動向を追うのは重要だ。そのトレンドは、いま欧米でどのような認識と理解が一般的になりつつあるのか示すインジケーターとして機能しているからだ。これはいわば、多くの人々が信じる現実の見方である。ということでは、こうした記事で景気後退と不況がこれから避けられない現実だと解釈されれば、ささいな経済変動
たとえばこれは、銃乱射事件の多発に脅える町で人々が車のパンク音を銃撃音と誤認してしまい、警察官が手持ちの銃で応戦し、実際に人命が奪われてしまうような状況だ。景気後退に脅える集合的感情が臨界点に達すると、小さくささいな出来事が、実際の金融パニックの引き金になってしまう。
この感情的なガスのたまり具合を見るひとつの窓が、欧米の主要メディアの記事だ。
■ニューヨークタイムスの記事
今回はこうした記事の代表的な論調のものをいくつか見て見よう。最初はニューヨークタイムスだ。8月17日に掲載された記事、「2020年の不況はどうやって始まるか?」だ。ニューヨークタイムスの経済担当スタッフライターによる記事だ。以下がその簡単な要約だ。
「長短金利の逆イールドが発生した。これは将来景気後退に入ることの予兆として理解されている。だが、いまのアメリカ経済は好調そのものであり、景気後退を示す予兆は乏しい。もちろん、米中貿易戦争の先行き不安で多くのアメリカ企業は積極的な投資を控えていることは事実だ。だが、企業投資がアメリカ経済に占める割合はたかだか14%である。アメリカ経済の3分の2を支えているのは国内消費であり、これはいまのところいたって堅調だ。拡大している。
だが、もし企業投資の低迷が長引き、リストラが加速するような状況にまでなると、消費者の懐具合が悪くなるので消費も落ち込むことだろう。企業投資の低迷が国内消費を引き下げるという構図だ。だがこれが起こったとしても、緩やかな景気後退にしかならないだろう。
2001年のドットコムバブルの崩壊や、2007年の住宅ローン危機のようなパニックにはならないはずだ。
こうした過去のパニックでは、バブルの存在が引き金になった。また、起こったパニックを拡大させる要因が働いていた。それは、ドットコムバブルでは同時多発テロであったし、2007年の住宅ローン危機は、多くの銀行が保有する「CDO」のような金融商品であった。
ではいま、パニックを引き起こすバブルの存在はあるのだろうか?間違いなくある。それは、レバレッジド・ローン(CLO)のような企業による過剰債務の存在である。もし景気の低迷で企業がローンを返済できなくなると、レバレッジド・ローンは破綻し、パニックが起こる。
では、このようなパニックを拡大させる現代特有の媒介はあるのだろうか?
それは間違いなくある。ひとつは、すでに金利をとことん引き下げてしまったFRBである。ここまで引き下げると、危機が起こったとき、使える手段がない。そして次は、トランプ政権がもたらした一国主義である。2008年の金融危機では、各国の協調体制がすぐに構築でき、危機に対応した。いまのナショナリズムが高まる状況では、こうした国際協調を望むことはできない。
こうした点を見ると、次に起こる経済の危機は相当に激烈なものになるだろう。」
以上である。
これは、「ローン担保証券」のパッケージである「CLO」が経済破綻の引き金を引くというシナリオだ。
そして、一度これが起こると、2008年の金融危機以上に激しいものになるとしている。
これは、2020年に入ると危機は避けられなくなると見る論調の記事だ。
■CNNの記事
こうした記事は、8月の半ば頃から欧米の主要メディアでは急速に増え、一般的な貴重になりつつある。しかし、なにが経済危機を誘発するのか見方は異なるものも多い。かならずしもニューヨークタイムスの記事のように、「CLO」が引き金になると見るものだけではない。CNNはそれ以外が危機の引き金になる可能性に目を向けている。「世界の5大経済が危機に瀕している、アメリカはどこに位置しているのか?」という題名の記事である。
執筆者はCNNの経済担当記者だ。以下が要約だ。
「今週、米中貿易戦争、ドイツの景気後退、中国の減速などが背景となり、ダウは800ポイントも下がった。これはアメリカが景気後退に入ったかもしれないとの懸念を強めた。
しかし、米中貿易戦争のお陰で企業の投資は減速しているものの、アメリカ経済の3分の2を占める個人消費はいたって堅調だし、失業率も過去50年で最低水準だ。アメリカがこれから景気後退に入る感じではない。だが、好景気が永遠に続くことはあり得ない。
不況はかならずやってくる。
次の5つが引き金になるかもしれない。
1)個人消費の低迷
いまアメリカの個人消費は堅調だが、米中貿易戦争の余波を懸念して消費者が消費を控える可能性がある。すると、アメリカ経済の土台である個人消費は冷え込み、景気後退に至る。いわば自己実現的な不況だ。
2)米中貿易戦争の余波
トランプ政権が中国に適用した高関税に、中国はかならず報復する。いまは農産物がターゲットになっている。米中貿易戦争が激化すると、マイナス効果はさまざまな産業に拡大するだろう。それはアメリカの不況の引き金になる。
3)グローバル経済の減速
いま、中国は減速し、ドイツとイギリスは景気後退に入った。
これからブレグジットで状況はもっと悪くなるに違いない。
こうした複数の国々が引き起こしたグローバル経済の減速が、アメリカ経済を不況へと追いやるかもしれない。
4)デフレ
最近のアメリカを見ると、目標としたインフレ率が2%であるにもかかわらず、これに到達することはまれだ。もしかしたら、これからアメリカはデフレになるかもしれない。日本がよい例だが、デフレに一旦なると脱出することは難しい。長期の低迷になる。
5)ブレグジット
そして最後はブレグジットだ。これがどこまでヨーロッパ経済を、そして世界経済を下方に引っ張るのか分からない状況だ。これがアメリカの不況の引き金になる可能性もある。」
以上である。この記事は景気後退のきっかけとして5つの要因を列挙している。
■ヴォックスの記事
いま欧米では既存のメディア以上にオンラインだけで配信されるメディアが大きな影響力を持つ。米大手ITメディア企業「ヴォックス・メディア」が運営するニュース配信サイト、「ヴォックス」もそうだ。8月15日に「不況に入りつつあるのはアメリカだけではない」という記事が掲載された。執筆者は地政学では著名なシンクタンク、
「アトランティック・カウンシル」
の元研究員である。以下が要約だ。
「すでにアメリカでは、景気後退に入る予兆がはっきり出てきている。しかしこれはアメリカだけではない。他の国々も不況に入りつつある。
日本は中国への輸出が減少しているときに韓国と貿易戦争を始めたし、ブレグジットでイギリス経済はすでに景気後退に入った。
そして、ドイツも景気後退入りを宣言した。
中国の成長率は2002年以来の低迷を記録した。
これに止まらず、香港を巡る政治的緊張は確実にマイナスの影響を経済に与えることは間違いない。
それに加え、シンガポール、ブラジル、アルゼンチン、そしてメキシコも景気後退期に入った。
これは各国の不況がシンクロしている状況だ。いっせいに不況に入る可能性は大きい。
このような状況になっている背景のひとつは、トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争だ。しかし、それだけが要因ではない。
各国のナショナリズムの盛り上がりが作り出した政治的混乱が不況の背景になっている。要するに、どの国も国内の政治的な混乱から、経済にエネルギーを集中できないのだ。イタリアでは政権内の深刻な対立から経済への対処はままならない状況だし、これはブラジルの極右政権も同じ状況だ。アルゼンチンの汚職まみれの大統領が再選されたことで、政治的混乱は拡大している。
このように、これから世界がシンクロして景気後退期に入ることは間違いない。それを示す事例は他にも多いが、このくらいでよいだろう。」
以上である。
この記事では不況入りのきっかけではなく、すでに世界はシンクロして不況に突入することは避けられないとする記事だ。
■ガスが充満した状態か?
これらは、いま欧米の主要メディアが報道する内容がどのようなトーンのものなのかを伝える代表的な記事だ。
すでにアメリカを始め世界が同時的に景気後退に入りつつあるのではないかという見方が一般的になっている。もちろん一部には楽観的な記事も見られるが、経済の将来を悲観する記事がすでに主流のトレンドになっている。
これは、人々の不安感と危機感が臨界点に向かって押し上げられている状況を示している。いわばこれは、不安感というガスが充満しつつある状況だ。先にも書いたが、こうした状況ではちょっとした火花が大爆発を誘発しかねない。普段であればなんでもないちょっとした出来事に、不安感と危機感でいっぱいの人々は過剰反応し、それが引き起こす行動が思っても見ない危機を引き起こすかもしれない。
いま、なんでも危機の引き金になる状況に入った。
要注意だ。
今年はなんとか大丈夫にしても、2020年か2021年には危機の引き金は引かれるのではないだろうか?要注意だ。

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