2019年05月30日

知識の小部屋: 平原大鏡が記紀の八咫鏡である

知識の小部屋: 平原大鏡が記紀の八咫鏡である
二部第10回
前回、少々細かい点ですが、周尺は18cmであり、その長さが許慎のいた漢代には、咫と言われる長さであると考えられていたことを確認しました。
平原大鏡は、銅鏡の本場、中国大陸にも類例がない大きさであることなどから、倣製鏡(日本製)であると考えられていますが、果たして弥生時代の日本人に中国でもあまり使われた形跡の乏しい「咫」なる長さの単位を認識していたと考えて問題ないのでしょうか?
既に伊都国での漢字への理解の形跡は、何度か指摘してきましたが、私は、この問題についても、当時の伊都国人が、「咫」の意味を認識していたと考えて全く問題ないと思います。
それは平原大鏡自体が示しています。
即ち、平原大鏡は、その単に大きいだけで特別というわけではなく、その文様も他の内行花文鏡に全くない、八葉座であることと、そして、その内寸が漢尺の2尺に相当する46.5cmであるからです。
つまり、
「漢尺の2尺で銅鏡を作ると円周8咫の鏡になる」
ということを理解していることを主張する意味が込められたからこそ、平原大鏡は、類例が皆無の八葉座を持っているです。
八弧文、
八葉座、
八咫、
こうして意図的に八という数字に合わせこんで作られた特別な銅鏡、それが平原大鏡なのです。
またこうしてみると、それが記紀の
「八咫鏡」
であったとすると、八咫鏡が伊勢神宮とそして皇居の賢所はその形代(レプリカ)が有るとされていることも、いとも無造作に理由が想像されます。
即ち、平原ではすでに5枚の大鏡がありますが、恐らくは当時は8枚作られ、その鋳上がりが一番良いものが伊勢にあり、皇居の賢所にもお形代として残ったのではないでしょうか? 
これでは、合計7枚で一枚残るわけですが、私は最後の一枚が箸墓から出てくるのではと期待しています。
箸墓の主、モモソヒメは国譲りの調和の精神の体現者として、彼女個人の所有物として八咫鏡の内一枚を副葬される権利を十分に持っていると思います。
箸墓主体部の発掘・考古学的な調査は何時になるのかも知りませんが、何とか長生きして、この推論が当たったかどうか見てみたいです。
また記紀や伝承に残る「八咫鏡」という単語ですが、これが大きい鏡を意味することは、これを円周長を表したと捉えないと、途端に不自然になります。
何故ならば、咫という単位は、尺よりも更に小さい長さの単位であり、基本的に中国の文献では、「咫尺」と熟して、小さいものの例えに用いられるからです。
既に一部の13回で、述べたとおり、身体尺としての長さ15cmの拇人指咫では、ヤマトの2枚の大型内行花文鏡が八咫鏡にあたり、18cmの拇中指咫では、平原大鏡が当たります。
もし記紀が単に後世の創作に過ぎないなら、その編者は、大きい鏡を表現したい場合には、
「八尋の鏡」でも
「八丈の鏡」でも、
もっと相応しい言葉を選ぶことをしたはずではないでしょうか。(「尋」は、両手を広げた長さ、「丈」は背丈の長さを示す身体尺です)
弥生末期の巫女王であった平原王墓から、古墳時代の始まりを告げるモモソヒメの箸墓、そして元伊勢伝承の始まりのトヨスキイリヒメから、最後に伊勢にたどり着いたヤマトヒメへ、銅鏡を憑代として太陽を奉斎する巫女の系譜が、倣製の大型内行花文鏡に注目することで自ずから立ち現れてきます。
「伊都から大和を経て伊勢へ、日本古代史を一つの継続的事象として捉える」
平原大鏡が八咫鏡に他ならないという結論が我々に示す意義は、この点にこそあります。
このことは極めて重大ですので、慎重に考えなければなりませんが、もし、俄かには肯定しかねるとして、これら事実を単に「わからないこと」として、あっさりと我々の「歴史」の範疇から蹴り出してしまうことは、余りにも勿体ないことだと思います。
この事実を否定的に捉えたい方には、平原鏡はなぜその面径が丁度、漢2尺なのか、なぜ前例・類例のない八葉座なのか、そして、なぜ記紀では、小さいものの形容に使われる
「咫」
なる特殊な字を使って大きな鏡を表現しようとしたのか、その全てを整合的に説明する対案を期待したいと思います。
平原の銅鏡については、まだまだ語るべきことは多いですが、ここでは一旦先を急ぐことにして、次から平原にある3種の神器の残り2つ(剣と玉)を見てみたいとおもいます。

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posted by datasea at 03:17| Comment(0) | ◉ 日本神話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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