2011年02月03日

ウトナピシュティム

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地の果てのある島に、世界でただひとりの死をまぬがれた人間が住んでいるという事をギルガメシュは知った。かなりの老人で、名前はウトナピシュティムという。ギルガメシュはこの老人に会って永遠の命の秘密を教わろうとした。
ギルガメシュはただちに旅路についた。そして長く旅を続け、ついにその島にたどりついた。島は一対の峰が天にとどき、はるか地獄の奥底にまで裾野がとどく山があった。山の前には重々しい入口があった。そして入口には半分人間、半分サソリの怪物が大勢で番をしていた。
ギルガメシュは怪物たちに、老人に会いたいと言った。怪物たちはギルガメシュの体格、存在に感じ入って扉を開けた。
扉の中は暗く、進むごとにさらに暗さは増していった。闇に終わりがないと思われた刹那、一陣の風が吹いて一条の光が闇を縫って刺し入った。ギルガメシュは宝玉がたわわに実る木々にかこまれていた。地上の楽園だった。ギルガメシュはさらに老人のいる場所目指してすすんだ。やがてどこからみても旅の宿だと思われる一軒の家が目に入った。その家にはシドゥリという女が住んでいた。
シドゥリは言った。
「あなたの探していらっしゃるものは見つけ出す事が出来ないものですわ。だって、死というものは神様が人間をおつくりになった時、神様は人間の取り分として人間に死をお与えになったのです。ですから分け前分だけの命をお楽しみくださいませ。飲んだり食べたりして楽しく過す。それが生きる事の意味でしょう?でもどうしてもお行きになされるのなら大洋を渡っていく必要があります。この家にいる船頭ウルシャナビに案内させましょう。」。
ギルガメシュはウルシャナビが乗る舟に乗り老人のいる島に向かった。ウルシャナビはウトナピシュティムのおかかえの船頭だった。
その海の水は死の水だった。触れると人は死んでしまう。そのため、舟のオールは水に濡れるたびに捨てる必要があった。やがて2人はオールを使い果たし、舟はただよう他なかった。やがて舟はウトナピシュティムのいる島に打ち寄せられた。そこにウトナピシュティムが立っていた。
船頭ウルシャナビはウトナピシュティムに事情を伝えた。
老人の目に遠いものをみるような色が浮かんだ。そしてウトナピシュティムは面をあげてギルガメシュに微笑んだ。
「よろしい。秘密を教えよう。」。
こう言って、ウトナピシュティムは、昔神々がおこした大洪水の話、知恵の神エアが風をおこして警告をした話をはじめた。
「風の音で小屋の格子がカタカタ鳴った。エアの合図だと思った。わしはエアの合図に従い、一そうの方舟をこしらえた。松ヤニやアスファルトでしっかり表面を塗り固めてな。そして家族と家畜と一緒にその方舟に乗った。海の水かさが増してきた。嵐は猛り狂った。稲妻がはしった。嵐は七日七夜続いた。方舟は水の上をさまよった。
七日目、方舟は世界の果てにあるある山にのりあげた。わしは、水がひいたか調べるため1羽の鳩を舟から放った。鳩はすぐに戻ってきた。とまる場所がないという事じゃ。次に1羽のツバメを舟から放った。ツバメはすぐに戻ってきた。とまる場所がないという事じゃ。次に1羽のカラスを舟から放った。カラスは戻ってこなかった。わしは家族と家畜をうながし、神に祈りを捧げた。そこでふたたび風の神が風をひとふき吹いた。すると舟はまた流され、この島に流れついた。以来、わしはこの島に住んでおる。」。
ギルガメシュはこの話をきいて、不死を求めてのこの旅が無意味である事を悟った。ウトナピシュティムが永遠の命を得たというのは、神の特別の計らいによるものだった事がわかったからだ。
老人は英雄の疲れきった表情をながめ、眠るよう言った。
ギルガメシュは6日6晩眠った。そしてふるさとウルクへ向かった。
-H.ガスター著「世界最古の物語」

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エア(Ea):バビロニアの神で、天の神アヌの子。シュメール神話の水神エンキに相当する。
神々を滅ぼそうとしたアプスーを倒し、ダムキナとのあいだにマルドゥクを儲ける。
祖父アンシャルの許しを受け、息子の代わりとしてティアマトに立ち向かうが恐れをなして退却。のちにマルドゥクがティアマトを倒した際、息子に命じられて太陽の統治を任された。また、キングの骨と血から人間を創造した。
『ギルガメシュ物語』では知恵の神とされ、ウトナピシュティムに方舟を作るように命じる。

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http://blogs.yahoo.co.jp/hama0saya/9331477.html




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posted by datasea at 22:29| Comment(0) | ◉ 民話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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