2019年06月04日

雑誌エコノミスト: 米国経済が失速している

pp6520190523223.png




雑誌エコノミスト: 米国経済が失速している
(一部要約)
米国株が値を下げている。
NYダウ工業株価指数は, 2019年5月20日〜26日に2週間ベースで2011年以来となる5週連続落を記録。
S&P500株価指数も米国企業の好決算を受けて4月末に史上最高値2945ポイントを更新した後は,米中摩擦の激化を受けて下降基調に転じた。
5月28日時点で,NYダウは2万5000ドル台前半, S&P500も約2800ポイントに沈んでいる。
米国株がさえない大きな理由の1つは,米中貿易戦争長期化への懸念である。
家トランプ政権は5月10日,対中関税第3弾を発動。
追い打ちをかけるように安全保障上の懸念から中国通信機器大手ファーウェイに対して米国企業が部品やソフトウェアを提供することを禁じた。
これが米クアルコムなど同社へ部品を提供していた米ハイテク企業の経営を直撃するとの見方から,米ハイテク株は大きく値を崩した。
対中関税第4弾もちらつく中,米国株は反転のきっかけをつかめないままだ。
こうした中で米国の実態経営の経済の下ぶれを示唆する指標が続々と出てきている。
米国経済を潜在成長率以上に加速させたトランプ政権の積極財政と米国連邦準備制度理事会理事会の低金利政策による相場効果。
しかしその一方でその相乗効果が剥落して,逆に非常にリスクとして認識され始めた。
法人減税と拡張的財政出動の結果, 2019年度の財政赤字は5310億ドル(約58兆円)と, 2018年度の3850億ドル(約42兆円)から38%増加する見通しだ。
財政赤字の拡大は海外勢の米国債離れを引き起こしている。
市場関係者
「10年債など長期債の買手がいない」
2019年の米国債発行は2年〜5年債など比較的年限の短い国債の発行額が7年〜30年の長期国債の発行額をそれぞれ上回る見込み。
安全資産と言われる米国債が売られれば,長期金利が上昇して,株式市場に悪影響与えかねない。
企業債務の拡大も大きな懸念材料だ。
非金融部門の債務は2017年末で29兆ドル(約3200兆円)と2008年のリーマンショック時を大きく上回る(34〜35%)。
企業は社債市場では投資適格中,信用力が最低のBBB格債が増えた。
一度金利が上昇すればこれらのBBB格債は投機的に格下げされる。
企業経営者の雇用や設備投資に対するマインドが冷え込むのは必至だ。
広木隆
「今年前半の業績が高水準なこともあって,今年は第3四半期まで利益の低い伸びが続くが,第4四半期から伸びが加速, 2020年第1四半期は再び2桁増益が見込まれている。業績拡大を織り込みながら米国株相場は堅調に推移するだろう。
労働市場が一段と逼迫して賃金上昇が加速した場合,長期金利が上昇して連邦準備制度理事会の利上げ再開が意識されるだろう。市場は利下げを織り込みに行っているだけに正反対のシナリオが浮上すれば大きな調整要因になるだろう」。
市岡茂雄
「ダウは9月上旬までに新しい高値の27,000ドルをつけた後年末は21,000ドルまで下落する可能性がある。
GDP統計を見ると,マクロベースの企業収益は2014年以降全く増えていない。それでも株高が続いてきたのは,社債発行でえた賃金を自社株買いに充当してきたからである。金利が上昇するなら社債発行は減少し自社株買いもする。
世界の金利は1980年以降38年間も低い中,世界的規模で債務は積み上がってきている。ドル金利が3%を大きく超えるならば最悪の場合,リーマンショック級の危機も覚悟すべきだ」。
ー雑誌エコノミスト2019年5月号,

pwfqzzqq pc










江守哲: このまま米国株が上がり続けるとは考えづらい
2019年5月30日
米中貿易摩擦やトランプ発言による上下はあれど、米国株式市場は右肩上がりで成長を遂げています。
果たして、米国経済はこのままさらに強くなっていくのでしょうか。
そして、米国市場の影響を大きく受ける日本市場の未来は明るいのでしょうか。
今後の米国・日本の経済の行方と、それに対して私たちはどう資産を守って増やしていけばいいのかについて、現役ファンドマネージャーとしてテレビ・雑誌・セミナーほか各所で活躍する江守哲さんにお話をお伺いしました。
「日本株の上昇は夏の選挙まで」
暴落を警告する江守哲さんの分析
米中貿易戦争の余波が日本株にも
この4月末にはナスダックが史上最高値を更新し、NYダウも最高値に接近するなど米国株式市場は右肩上がりで成長を続けています。
投資家の間では、このまま米国が世界覇権を握り続けるという強気な意見もあれば、まもなく暴落が起きるとの懸念の声も多く聞かれます。
果たして、ここから数年後の米国市場はどうなっていくのでしょうか。また、米国経済の影響を大きく受ける日本の未来は明るいのでしょうか?
今回は、現役ファンドマネージャーとしてテレビ・雑誌・講演など多方面で活躍し、独自ルートから得た生の情報を元にした市場分析に定評のある江守哲さんに、今後の驚くべき展開と相場展望と、個人投資家が取るべき対策について解説していただきました。
−−本日はよろしくお願いいたします。江守さんは年初からメルマガなどで
「2019年は下げて終わる」
「今の日経平均は割安感がない」
「1万8,000円が妥当」
など悲観的な展望を解説されていますが、その考えにお変わりはないでしょうか?
率直に、今後の米国・日本株式市場の展望をお聞かせください。
江守氏:そうですね。すでに米国株は割高で、上がって欲しい人だけが強気な発言をしているのでしょう。
いま、多くのファンドマネージャーは株を売って債券を買っています。
なぜかというと、サイクル面でもかなり明確な天井確認ができているためです。
OECD景気先行指数は2017年12月にピークを付けています。
つまり、世界景気は1年以上前に後退局面に入っていることが確認できています。
また、世界全体の株価も2018年1月に天井を付けて下落基調に入っており、すでに景気サイクルが一巡したところ。このまま米国株が上がり続けるとは考えづらいでしょう。
−−それにもかかわらず、現在、米国株が上がっている背景はどこにあるのでしょうか?
江守氏:トランプが人気取りで、必要のない減税をやっているからです。
それで米国経済も好調のような見え方になってしまっている。
米住宅指標も昨年(2018年)1月がピークでそこから後退局面に入っていて、過去の米国株の天井との差を見ると、米国株はいまが天井か、2019年末頃には後退期に入るかもしれませんね。
−−2018年12月24日〜25日にかけては、NYダウの650ドルを超える大幅安を発端として日経平均も1,010円安と大きく下げるクリスマス・ショックが起きました。あれ以上の暴落が近いうちに起こるということでしょうか?
江守氏:あれ以上の暴落になるかというと、ただちにそうはならないでしょうね。誰もが米国株を買い、さらなる成長を疑わないという状況になってからでないと、暴落とはならないと思います。ただ、現在のように米国経済の雲行きが怪しい状況でも、米国株・米グローバル企業の株を買いたいという人は世界でも多くいます。
じわじわと米国株が上がっていくなかで、近い将来に綻びが出てくると予想します。
−−Googleがファーウェイとの取引を中止するなど米中間の対立が激しくなっています。米国株が暴落へと向かうきっかけは、やはり米中貿易戦争になるのでしょうか?
江守氏:米中貿易戦争は、最低でもあと1年は解決しないでしょう。
あれは経済戦争ではなく、国家の防衛に関わる「戦争」になってしまっています。
ファーウェイ排除にしても、中国のハイテク産業・通信機器を野放しにすると国防の危機につながるからです。
「国防は経済に勝る」
ですね。ずるずると次の米大統領選前までは解決せず、米国経済もダメージを負うでしょう。

まぐまぐ!
https://www.mag2.com/p/money/678197









posted by datasea at 03:08| Comment(0) | $ 経済アナリスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マッキンゼー: 2025年,世界経済の重心は中国・インドに還る


pp6519000000390.jpg
世界の経済的重心の進化



マッキンゼー: 2025年,世界経済の重心は中国・インドに還る
『マッキンゼーが予測する未来』(リチャード・ドップス)
2017/3/25 2018/1/16
世界経済の「重心」は、移動し続けてきた
歴史を振り返ると、世界経済の重心、すなわち、地域別経済規模を比例配分した重心の位置は、移動し続けています。
この「重心」は、西暦1年から1500年まで、中国とインドの間の国境にありました。
その後、イギリスで始まった産業革命の影響により、西へ、そして北へと、移動します。
北西に向かっていた「重心」の移動トレンドが、方向転換したのは、第2次大戦後。
日本や韓国の高度経済成長により、徐々に、東に向かって戻り始めます。
東への経済の振り子の戻りを決定的にしたのが、世界の人口規模最大の2国、中国とインドの経済改革です。
中国は、経済の自由化を1978年に始め、以来、素晴らしい成長を30年間享受してきた。インドはグローバル市場への進出・統合を始め、とくに急速に成長するIT産業分野にけん引されて、90年代には成長ペースをいっそう速めた。
90年代の終わりまでは、世界の工業分野では先進国がまだ優位を保っていた。アメリカは世界最大の工業生産を誇っており、アメリカと日本および西欧諸国が、製造工業企業の世界ランキングで上位を占めていた。2000年までに、世界人口のわずか4%のアメリカが世界経済の3分の1を占め、世界中の株式時価総額の50%を占めていた。
だが、こうした数値は、内なる力をためつつあった巨大な変化の方向を見誤らせてしまうものであった。
1990年から2010年の間に起きた世界経済の重心位置の移動は、歴史上過去のどの時期と比較しても例のない速さで進んだ。それは、08年のリーマンショックとその結果起こったグローバルな経済停滞の時期も含めて、新興経済地域へ向かう経済活動の移動の勢いが止まらなかったからである。
ヨーロッパが不況にもがき、日本が失われた10年から抜け出そうと苦闘し、アメリカが低成長に足を取られている間に、新興国が世界経済のリーダー役が身につけるマントを拾い、確実に自分のものにしていたのである。2013年の世界経済活動の規模、1兆8千億ドルの中で、中国だけで1兆ドル、すなわち60%を占めていた。今や中国こそが、世界最大の製造工業国なのである。
中国ばかりではない。
インド、インドネシア、ロシア、それにブラジルといった新興諸国が、今や世界の主要製造工業国となっている。
世界の製造業による付加価値額は、1990年から今日までに、実質価値で5兆ドルから10兆ドルへと2倍になり、巨大新興諸国による付加価値の占める比率は、過去10年間に21%から39%へと、ほぼ2倍近くになった。世界の海外直接投資のうち、新興国から、新興国への移行途上にある諸国への直接投資の比率は、07年に34%だったものが10年には50%、そして13年には60%を超えている。
だが、こうした国々の経済成長はまだ、これから起きる変化の前触れでしかない。
現在から2025年までのあいだに、こうした地域を総合すると先進工業国よりも成長率は75%高く、新興国の年間消費額は30兆ドルに達し、世界経済合計消費のほぼ半分を占めるまでに増加する。
そして25年までに世界経済の重心は中央アジアに戻り、西暦1年に存在していた重心の位置の、ちょうど真北の位置になると予測されている。
この変化に加わる力のスピード規模は、まさに驚嘆に値する。
イギリスが人口1人当たりの生産量を2倍にするのには154年かかったのだが、それは人口900万人(開始当時)の規模だった時代のことである。
アメリカが同じ偉業を達成するには53年かかり、人口1千万人(開始当時)の時代であった。
ところが、それと同じことを中国とインドは、それぞれ12年と16年で達成し、しかもそれぞれの国がおよそ100倍の人口を抱えて達成したのである。
言い換えれば、両国の経済規模の拡大は、イギリスの産業革命がきっかけとなった経済発展のスピードよりも10倍に加速され、しかもその規模は300倍で、経済発展の力は実に3000倍ということになる。
『マッキンゼーが予測する未来』 第1章 より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊
これまで、人類が2000年かけて進めてきた、「経済の重心」。
それをわずか25年で揺り戻そうというのですから、中国とインドなどの新興国の潜在力の高さは、私たちの想像を絶します。
消費者余剰の一部を、消費者に負担させる
インターネットの普及や、情報の処理速度の向上によって進む「デジタル化」。
デジタル化の流れは、製品やサービスへのアクセス、発見、流通のプロセスにかかるコストを著しく削減します。
最も大きな恩恵を得ているのは、私たち消費者です。
インターネット上にある多くのサービスを無料、もしくは、驚くほどの低価格で利用することができるようになりました。
一方、サービスを提供する企業側は、利用者からお金を支払ってもらう仕組みを構築する必要があります。
インターネット上で提供されるサービスにより創造された総価値、すなわち消費者が支払ってもよいと考える金額から、財に対して実際に支払われた価格を差し引いた部分は、経済学で消費者余剰と呼ばれ、それまでに支払っていた価格からの低下分、より良い製品となった価値の上昇分、生活の質の改善による便益といったものの合計に相当する。そして、この消費者余剰、つまり消費者にとり「お得」となった部分は、インターネットにより新たに創造された総価値の実に3分の2にも及ぶのである。そこで、企業にとっての課題は、消費者が享受するビデオ、コンテンツ、ゲーム、コンテンツを保持しておくストレージ、メールサービス、利便性といった、提供される素晴らしいものの対価をどうやって消費者に負担してもらい、支払ってもらうのか、つまりサービスの有料化という点にある。
これまでのところ、利便性の対価を企業に移動する手法、つまり企業の現金収入化の方法として効果的と証明されたものは、ごくわずかしかない。
その一つが広告収入であり、フェイスブックやグーグルといったハイテク巨大企業の高利益率、高成長を支えたやり方である。
広告収入モデルはこれからも有効だと考えられるが、広告ターゲットの絞り込み、広告の効果測定、効果的な分析能力に関して、ユーザーの期待は今後も継続して高まっていくに違いない。
直接支払いと継続購読料金という課金方式は、オンライン・コンテンツ自体が持つ課金能力を反映し、主流となっていくだろう。
このモデルでは、「フリーミアム」価格設定戦略が、ますます一般的になるだろう。
つまり、基本サービスは無料で提供し、その上のクラスでは、広告を除外する、ゲームのアイテムを提供する、価値ある高度なサービスや特典の獲得が可能となる、といった各種の特典を与えて差別化する方法である。
この方式を採用している企業には、ゲームサイトであるジンガやスポティファイ、さらにはリンクトインやアップルにいたるまで、幅広い実例が存在する。たとえば、リンクトインに加入するのは無料である。
ところが、プレミアム会員へと資格を上げビジネスプラス会員になるには、月額59ドル99セントがかかる。
ビジネスプラス会員になると、誰が自分の履歴書を閲覧したのかという情報を閲覧でき、関心のある数多くの求人企業にメッセージを送るなど、基本サービスでは得られない高度な検索も可能となる。
企業にとって三つ目のサービス現金化モデルは、自身の保有するビッグデータから収入を得る方法である。
たとえばB to Bと呼ばれる企業対企業取引の革新的なサービス提供(たとえばクラウド調達情報や、データ科学分析サービスのアウトソーシングなど)が考えられ、またデータを活用し、消費者が喜んで出費してくれそうな製品、サービス、コンテンツを開発してサイト上で販売することもできるだろう。
たとえばリンクトインの収入源の
20%はプレミアム会員からの月次加入料金、
30%がマーケティング、
残りの50%が人材リクルーターに対する人材探索サービス
である。
その具体的な内容は、人材リクルーター企業に求人要件に合致する人材情報を絞り込み、候補者情報の提供や候補者との連絡ツールを販売することだ。
『マッキンゼーが予測する未来』 第2章 より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊

本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ
http://maemuki-blog.com/?p=11286






書評『マッキンゼーが予測する未来』(リチャード・ドップス)
2017/3/25 2018/1/16
お薦めの本の紹介です。
リチャード・ドッブスさんとジェームズ・マニーカさんとジョナサン・ウーツェルさんの
『マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』
です。
マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている
リチャード・ドッブス,ジェームズ・マニーカ,ジョナサン・ウーツェル ダイヤモンド社
2017-01-27 posted with ヨメレバ AmazonKindle楽天ブックス
リチャード・ドップス(Richard Dobbs)さん、
ジェームズ・マニーカ(James Manyika)さん、
ジョナサン・ウーツェル(Jonathan Woetzel)さん
は、いずれも世界的戦略コンサルティング・ファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営および世界経済研究部門である、MGI(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)のメンバーとしてご活躍されています。
■我々は、「直観力」をリセットしなければならない
著者は、世界は今、破壊的な力を持つ四つの根本的なトレンドによりもたらされた、劇的な変化のほぼ中途にあると述べています。
四つの破壊的な力とは、以下のとおりです。
経済の重心の移動
テクノロジー・インパクト
地球規模の老化
「流れ(フロー)」の高まり
今やこの四つの力は、事実上のどの国の市場、そして世界経済のどの分野でも、長い間確立されてきたパターンを破壊しています。
この四つのトレンドが同時に起こっていることは、私たちの生きている世界、すなわち私たちが生まれ育ち、安定を享受し、私たちの意思決定に最重要な直観を形成してきた世界が、劇的な変化を遂げることを意味します。
新たな機会が多く存在するとはいえ、私たちが直面するこの新時代は、大きな動揺も与える。
だからこそ、やるべきことはたくさんある。
まずは私たち全員が持っている直観をリセットし、高成長する新市場に、新たにどのようにアプローチするかを考え、過去のトレンドが断絶してしまう状況に素早く対応できるようにしなくてはならない。
(中略)
私たちは読者に、差し迫った危機の警鐘を鳴らしたり、眼前に広がる素晴らしい機会の数々を逃すなと、ただ単に提唱しているのではない。
読者自身の持つナビゲーション・システムのリセットの仕方を提供しようとしているだ。
リセットを始めるのは、即座に行っても早すぎることはない。
本書で取り上げた世界経済のあらゆる分野、側面で新しい現実の数々に対応し、調整しなければならない緊急課題が存在する。
ところが、人類の持つ工夫力、発明力、想像力のすべてをもってしても、変化への対応が遅くなる傾向が私たちにはある。
行動経済学者は「リーセンシー・バイアス」(最近の事象を重視する傾向)や「アンカリング」(自身の経験に引きずられる)といった用語で説明し、物理学者は「慣性」の強力な力を原因に指摘する。皮肉屋の分析化であれば、「仮に病気と呼ぼう」と形容するかもしれない。それと言うのも、過去3年間についてある見方が固まれば、次の5年間も似たものに見えてくるからである。どのような名前や説明をつけるにせよ、人間には「未来は、最近の過去とほとんど変わらないものであってほしい」と考えてしまう強い傾向がある。
こうした考えに基づいて意思決定をしたために、巨大企業という船が浅瀬で座礁し、幾度となく沈没してきた。
たとえ私たちの住む世界について抱いている仮説を再検討したとしても、何の対処もしなければ、ひとたび事が起こると大きな被害を受ける脆弱な状況に置かれてしまう。変わりゆく地形、環境にどのように対応していくのかに関して、曇りのない視力を獲得することこそが、私たちを成功へと導いてくれるのだ。
『マッキンゼーが予測する未来』 イントロダクション より 
リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊
本書は、
「四つの破壊的な力」
がもたらす影響について解説し、
「近い未来、世界に何が起こるのか」
を具体的な事実(ファクト)にもとづいて予測し、まとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ
http://maemuki-blog.com/?p=11286









2017年 05月 22日
あれっ、想定以上に世界経済の重心が移動?
「マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは、4つの力に支配されている」(リチャード・ドッブス他著、ダイヤモンド社)
以下は掲題書からの一部抜粋。
第T部 4つの破壊的な力
第一章 上海を超えてーー
──異次元の都市化のパワー
世界経済には重心があり、移動し続けてきた
それまで北西に向かっていた世界経済の重心の移動トレンドが、方向転換する基盤が築かれたのは、第2次大戦の数十年である。
20世紀の後半50年の間に、経済の振り子は徐々に東に向かって戻り始めた。
1950年代にヨーロッパが復興し、日本が工業を立て直して素晴らしい復興を始めた。
そして日本は成長を続け、1980年代の後半までには世界第2の経済規模となった。
この日本の成長のすぐ後に続いたのが韓国である。
東への振り子の揺り戻しを加速したのは、アジアの眠れる巨人が目を覚ましかけたときである。
その後、世界の人口規模最大の2国、中国とインドがついに経済改革を果たし、トレンドの方向転換が確実なものとなった。
1990年から2010年の間に起きた世界経済の重心位置の移動は、歴史上過去のどの時期と比較しても例のない速さで進んだ。
それは、08年のリーマンショックとその結果起こったグローバルな経済停滞の時期も含めて、新興経済地域へ向かう経済活動の移動の勢いが止まらなかったからである。ヨーロッパが不況にもがき、日本が失われた10年から抜け出そうと苦闘し、アメリカが低成長に足を取られている間に、新興国が世界のリーダー役が身につけるマントを拾い、確実に自分のものにしていたのである。2013年の世界経済活動の規模、1兆8千億ドルの中で、中国だけで1兆ドル、すなわち60%を占めていた。今や中国こそが、世界最大の製造工業国なのである。
中国ばかりではない。
インド、インドネシア、ロシアそれにブラジルといった新興諸国が、今や世界の主要な製造工業国となっている。
世界の製造業による付加価値は、1990年から今日までに、実質価値で5兆ドルから10兆ドルへと2倍になり、巨大新興諸国による付加価値の占める比率は、過去10年間に21%から39%へと、ほぼ2近くになった。世界の海外直接投資のうち、新興国から、新興国への移行途上にある諸国への直接投資の比率は、07年に34%だったものが10年には50%、そして13年には60%を超えている。
だが、こうした国々の経済成長はまだ、これから起きる変化の前触れでしかない。現在から2025年までの間に、こうした地域を総合すると先進工業国よりも成長率は75%高く、新興国の年間消費額は30兆ドルに達し、世界経済合計消費額のほぼ半分を占めるまでに増加する。そして25年までに世界経済の重心は中央アジアに戻り、西暦1年に存在していた重心の位置の、ちょうど真北位置になると予測されている。
この変化に加わる力のスピードと規模は、まさに驚嘆に値する。
イギリスが人口1人当たりの生産量を2倍にするのには154年かかったのだが、それは人口900万人(開始当時)の規模だった時代のことである。
アメリカが同じ偉業を達成するには53年かかり、人口1千万人(開始当時)の時代であった。
ところが、それと同じことを中国とインドは、それぞれ12年と16年で達成し、しかもそれぞれの国がおよそ100倍の人口を抱えて達成したのである。
言い換えれば、両国の経済規模の拡大は、
イギリスの産業革命がきっかけとなった経済発展のスピードよりも10倍、
その規模は300倍で、
経済発展の力は実に3000倍
ということになる。
私たちの入手した画像を、意味合いを含む文章に変換してくれる神経中枢が、入ってくるデータを知的に処理できるように、
私たちの身にしみついた直観力をリセットする必要があるのだ。
私たちが撮る都市の映像は、表面上の姿だけでなく、その下に潜むダイナミズムを把握し、さまざまな機会の持つ輝きをハイライトし、
一方で存在するリスクの持つきらめきをトーンダウンしなければならない。
いちばん大事なことは、そうした私たちの撮る画像が、現実世界の前向きの動きを投影できていなくてはならないことだ。
<感想>
 中国のような新興市場や都市への、経済活動とダイナミズムの重心となる場所の移動が、想定以上のスピードで進行していることをしっかり把握することから始めなければなるまい。

元証券マンが「あれっ」と思ったこと
https://tsuru1024.exblog.jp/25790525/
http://tsuru1.blog.fc2.com/











posted by datasea at 00:13| Comment(0) | $ 経済アナリスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする